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割増退職金1000万円につられ42歳で早期退職したら…

「ギリギリ逃げ切れるはず!」。そんな楽観的な見方をしがちな50代だが、少し目を凝らせば、すぐそこは阿鼻叫喚の地獄絵図。「転職・独立」というフロンティアは、弱肉強食の厳しい世界でもある。会社を飛び出した男たちを待ち受けていた運命とは? その過酷な現実に迫る。
負け組50代

現在は脚に痛みは残るものの歩けるようになり、休日は一人で自然の中を散策して安らぎを得ているという

割増退職金につられ早期退職するも体はボロボロで離婚

年収650万円→42歳で転落→年収0万円 柿崎貴志さん(仮名・56歳・バツ1)無職 「人と接することが好き」と社交的な性格の柿崎さんは、スーパーマーケットの本部で店舗スタッフのサポートに従事。ところが40歳を過ぎた頃、業界再編の煽りで会社は吸収合併を繰り返し、人員削減のために早期退職の募集を始めた。 「退職金は20年間勤めたことで満額の800万円。さらに割り増しで1000万円。同僚も次々に手を挙げていたし、正直、その額に目が眩んでしまいました」  一時的に大金を手にした柿崎さんだが、リタイアするには不十分。結局、知人の紹介でスーパーの社員や宅配ずしの店長、コンビニのフランチャイズオーナーなどを転々とすることになる。 「特にコンビニオーナーが過酷でした。アルバイトに欠員が出ると、3日も家に帰れない。おまけに立ち仕事なので、股関節を痛めて、手術することになりました」  この時、すでに50代。4か月の入院、半年間のリハビリを経て退院するも、コンビニは手放さざるを得なかった。 「それで配送の仕事を始めたのですが、悪い流れは続くものですね……。今度はもう片方の股関節が悪化してしまい、再び手術です。さらに、そんな暮らしに痺れを切らした妻から『将来が不安だ』と離婚を切り出されました。もう引き止める気力も残っておらず、『そりゃ、そうだよなぁ』と黙って頷くだけでした」
[負け組50代]の衝撃

本棚には仏教関連の書籍が並ぶ。「今、一番大切なものですね。離婚してから買ったものばかり。救いはこの中にあります」(柿崎さん)

 28歳の時に新築で購入した3000万円の一軒家は妻子に渡し、今は家賃3万円のアパートで就職活動を続けている。「人生100年」ともいわれる時代、目先のカネにつられて早期退職すると、長くツラい後半戦が待ち受けているのか。 ― [負け組50代]の衝撃 ―
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