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叱ったら次の日から会社に来ない…最近の若者の特徴は「打たれ弱さ」?

 今の若者は叱られることに慣れていない――20代の若い部下を持つ40代以上の社員に取材をすると、そんな話をよく聞く。

礼儀正しい好青年に思えたが……

モンスター新入社員

写真はイメージです(以下同じ)

 コンピューター部品を扱うメーカーで働く池田修治さん(仮名・44歳)は一時期、部下を注意することができなくなり、カウンセリングを受けていた経験を持つ。そのきっかけとなったのが、4年前に当時課長を務める支社の営業部に配属された新入社員のT君だ。 「その年の春、都内の私大を卒業したばかりで、新人研修明けの4月中旬にウチの営業部に配属されてきました。挨拶や返事といった基本的なことはちゃんとできていましたし、勤務態度に問題があるわけでもなかった。やる気もあり、先輩社員たちとも積極的にコミュニケーションを取っていて、悪い印象はありませんでした」  ゴールデンウィーク前に居酒屋で行われた歓迎会でもお酒に酔って無礼を働くわけでもなく、自分から池田さんや先輩社員の飲み物を注文するなど気配りもできていたという。 「好感が持てましたね。何でもそつなくこなすタイプに見えたので経験を積めばいい営業マンになると思いました。まあ、その予想は思いがけない形で外れてしまったわけですが(苦笑)」  連休明け、池田さんはT君を連れて得意先を回っていた。本当はメールのやりとりで済む内容だったが、先方に彼を紹介するために時間を作ってもらっていたそうだ。 「そのなかに追加で新規発注したいという会社があって、見積書の作成を試しにやらせてみることにしたんです。私が担当する案件でしたし、ミスがあっても自分でチェックできるのでいくらでもフォローできます。似たようなことは新人が配属されるたびにやっていたので、特に珍しいことでもありませんでした」

見積書のミスを注意したら…

 T君は見積書の書き方については先輩社員から教わっていたが、会社に戻ってから池田さんからも改めてレクチャー。本人は「任せてください!」と自信たっぷりに答え、翌日夕方には作成した見積書を提出してきたそうだ。 「しかし、発注した製品の数が桁1つ多かったり、大きなミスがいくつかありました。それで彼を呼び、見積書にあった間違いについてそれぞれ指摘しました。ただし、大声で怒鳴ったり、暴言を吐くような叱り方は会社的にNG。あくまでミスだらけの見積書を先方に見せると会社の信用を失い、最悪契約を解除される可能性があることを説明し、自分で間違いがないと思っていても何度も確認するように注意しました」  T君は「すみません……」と何度も池田さんに謝ってきたとか。落ち込んでいる様子が見てわかったので、「最初はみんなそんなもんだから気にするな!」と励まし、見積書は翌日に再提出してもらうことにしたとか。  だが、その日を最後にT君が会社に姿を見せることはなかったという。 「翌朝、仕事用のスマホに『申し訳ありませんが、体調が悪いので本日は休ませてください』と欠勤を伝えるメールが入っていました。このときは本当に具合が悪いのだと思いましたが、翌日も欠勤したことで嫌な予感がしました。すると、彼が休んで3日目、営業部長から呼び出されたんです」
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なぜか自分がパワハラで追い込んだことになっていた
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