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深夜に社長から「グズだな」とパワハラメール。43歳社員がうつ病で倒れるまで

 2019年8月、ネプチューン・名倉潤が手術の“侵襲”によるストレスが原因のうつ病を公表したことは記憶に新しい。このように、それまで何の前ぶれもなく元気だった人が、意外な理由やきっかけで“急に”うつ状態になってしまう例は多いという。そんな「突然うつ」とも言うべき現象はなぜ起きるのか? 実態に迫ってみた。

社長からの「クズだな」メールを受信して……

背中

※写真はイメージです(以下、同)

●矢内昭仁さん(仮名・43歳・建築デザイナー) デザイン事務所勤務。都内在住、2児の父。復職した現在も安定剤と睡眠薬を服用中。最近は週末にフットサルも始めた === 「それまで昼夜問わず、身を粉にして働いてきました。しかしある日、社長からの心ないメールで心がポッキリと折れたんです」  都内在住の建築デザイナー、矢内さん(仮名・43歳)はそう語る。 「勤めていたデザイン会社は社長を含めて5人の零細企業。常に人手不足で残業も月150時間と過酷な環境でした」  長時間労働もさることながら、彼の心を蝕んだのはワンマン気質の社長によるパワハラだった。 「納期ギリギリでむちゃな案件を押しつけてくるし、鶴の一声でひっくり返されることは日常茶飯事。ミスをしたら『お前はダメだ!』など大声で罵倒されることも」

通勤途中に過呼吸。パワハラメールで「もう頑張れない」

 やがて体調にも影響が。 「疲れているのに夜は寝つけず、不眠気味でした。食欲もなくなった。通勤途中に過呼吸になり、駅の救護室に運ばれたこともあります」  そんなある日、徹夜で業務を終え、終電に乗り込んだ矢内さんに社長から1通のメールが届いた。 「全然ダメ、やり直し! 担当者なのにクズだな。シッカリしろ!」  もう頑張れない――スマホを握りしめ、矢内さんは深夜の車内で泣き崩れた。その後の記憶はない。 「しかし休めたのはたったの1か月。引き留めも強引で退職まで約2年かかりました」
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転職先でも受難は続く…
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