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中間層が下流へ転落!? 日本を襲う新格差社会の闇

―[新格差社会の闇]―
 一部の富める者だけが甘い汁にありつき、その他大勢が負け組と化す――。作家・橘玲氏が新刊「上級国民/下級国民」で描いた現実は、日常のあらゆる場面を侵食している。日本を覆う「新型格差社会」のリアルを追った。 新格差社会の闇

これまで日本で常識だった一億総中流社会が消滅する!

『言ってはいけない』シリーズで知られる作家・橘玲氏の新著『上級国民/下級国民』が発売から1か月で10万部を突破。社会現象と呼べるほどの話題になっている。 「これだけ売れるのは、多くの人の不安の表れでしょう」そう語るのは橘氏。執筆の着想を得たのは3年ほど前だった。 「欧米社会で起きた変化は、必ず数年後に日本でも同じことが起きる。私はこれまでそう提唱してきました。’16年にアメリカでトランプ政権が誕生し、イギリスでEU離脱を提唱するいわゆるブレグジットが起きた。  これらは今まで社会の中流を担ってきた白人労働者というマジョリティが、テクノロジーの進化やグローバル化で仕事を奪われ、プアホワイトと呼ばれる下流に落ちたから。いったん下級国民になると、革命や核戦争でも起きない限り這い上がるのは困難です。  日本でも今年4月、87歳の元官僚が引き起こした交通事故をきっかけに、上級国民/下級国民というネットスラングが拡散しました。高度化した知識社会が生む強烈な格差に、ネットの住民はいち早く気づいていたのです」  中国やインドといったかつての貧困国の躍進を見るまでもなく、世界規模で見れば人類は豊かになっている。しかし、そのしわ寄せが先進国のマジョリティを直撃。上級/下級国民に分断される不幸を生み出しているというのだ。 「日本をはじめ多くの先進国で富と人口の分布を調べると、これまでは平均付近に最も多くの人が集まり、極端に豊かな人や、貧しい人は少ないベルカーブを描いていました。  まさに、昭和の日本が実現した“一億総中流”社会です。偏差値で言えば40~60の範囲に全体の約7割が収まっていた。それが、平成時代の30年間で両極端に開いていく世界に変質したのです」

富と人口分布を表した図。大多数を占めていた中間層の富が富裕層に接収され、中間層はいや応なしに下級国民になる。グラフは橘氏のブログをもとに編集部が作成

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