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安倍晋三、菅義偉、山本太郎「首相にふさわしいのは?」答えは一択/倉山満

即位の礼

10月22日、「即位の礼」で即位を宣言された天皇陛下。当日は曇天から、見事な虹がかかった。しかし、日本の雲行きは怪しいままだ。今、我々は何をすべきだろうか(写真/時事通信社)

安倍首相は「任期中に税率を倍にした首相」としてのみ、歴史に名を残しそうだ

 室町時代、天皇の御世代わりには南朝の残党が蜂起し、将軍の代替わりには徳政一揆が勃発した。ならば、令和の我々は?  とうとう安倍晋三首相が消費増税をやらかし、暗い気分で台風を迎え、新帝即位のパレードも延期となった。だが、即位の当日、陛下がおでましになると雨がやみ、虹がかかった。多くの人が、日本は神国であると実感したのではないか。しかし、皇室と国民の絆は神話だけによって結ばれているのではない。  日本はどうなるのか?ではなく、自分の国をどうするのか?と心ある国民が考え行動してきたので、日本は守られてきたのだ。  安倍首相の思惑は明確だった。新帝即位を、国民は必ず歓迎する。祝賀ムードの中、高い支持率も維持できる。消費増税による景気悪化は、まだ先だ。ならば、今の内に解散総選挙をしてしまえば、引きずりおろされることもない。  憲法上は、衆議院の解散権は総理大臣にある。だが、それは表のルールにすぎない。実際には、創価学会が握っている。創価学会とは、連立与党の一角の公明党の支持母体であり、かつ自民党の最大支持基盤である。だから、その意向に逆らえない。自民党総裁(総理大臣でもある)と雖(いえど)も、創価学会の意向を抜きにしては選挙ができない。これが真のルール、掟だ。  さっそく公明党筋からは「台風で解散は吹っ飛んだ」という声が聞こえる。仮に安倍首相が解散を打ちたくても、創価学会・公明党を説得できるだろうか。そんな公明党も逆らえない勢力がある。官僚だ。  安倍内閣が空前の長期政権と化した理由は簡単だ。霞が関の官僚機構の傀儡と化したからだ。真の官僚とは、立法を握る内閣法制局と、行政(予算)を握る財務省主計局である。法制局は最強の拒否権集団で、主計局は最強の推進集団だ。安倍内閣は常に、この両者に遠慮してきた。  現在、主計局の意向は明快である。「安倍は用済み。次は菅」だ。どうやら安倍首相は「任期中に2度の消費増税を成し遂げ、税率を倍にした首相」としてのみ、歴史に名を残しそうだ。

「ポスト安倍」の筆頭は菅官房長官だが…

 読者諸氏も、現在の日本政治が菅義偉官房長官を中心に回っているのは感じているだろう。安倍内閣7年を官房長官として支え、政官界ににらみを利かせてきた。最近では「令和おじさん」として一般の知名度も上がり、「安倍後継」の最右翼と目されている。しかし政権の座は、どのような就きかたをするかで、意味が変わる。安倍首相に禅譲されるか、あるいは霞が関の傀儡となるか。  菅官房長官が推した大臣のスキャンダルが噴出し始めているが、意味は簡単だ。「従うなら首相にしてやる。逆らうなら潰す」。  即位の礼では、男性皇族の少なさが際立った。多くのメディアが「先送りできない、皇位の安定継承」と迫る。要するに、「女帝と女性宮家を認めよ」と言いたいのだ。  さすがに安倍・菅も、「日本の伝統は皇室の男系継承だ」とは理解できている。だが、その正論を守る力が残っているか。  本欄でも「皇位継承の問題は、引き分けならば、国体護持派の勝ち」と強調してきた。詳細は、小著『13歳からの「くにまもり」』で詳述しておいた。悠仁親王殿下がご無事に成人され、即位され、男の子が生まれ、その子が即位される。時間がたてば、女帝や女性宮家など出る幕が無い。女系など、論外だ。  だから国体破壊派は、「先送りするな」と迫っているのだ。その首魁(しゅかい)は、内閣法制局である。  安倍内閣が有識者として不肖倉山を呼ぶくらいなら、女系・女帝・女性宮家の推進論など、鎧袖一触(がいしゅういっしょく)で粉砕できる。だが、その根性を求めても無駄だろう。今の安倍内閣に任せておけば、ズルズルと下手な妥協をするのは目に見えている。過去7年間が、そうだったので。  ならば結論は一つ。打倒するのみ。
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山本太郎は首相にふさわしいか?
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