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最良の人間関係は「マイナス検索」で探すべき<プロ奢ラレヤー>

プロ奢ラレヤー(@taichinakaj)

「僕に奢りたい人はDM(ダイレクトメッセージ)ください」―― 「他人のカネで生きていく」というモットーを掲げ、見ず知らずの人に奢られることを“生業”とする、「プロ奢ラレヤー」。  Twitter上でつぶやく日々の気づきや、奢りに来た人の奇想天外なエピソードが反響を呼び、フォロワーは2年半で約9万人。彼に奢った人は政治家、医師、経営者、研究者、芸能人、パパ活女子、前科持ちなど各界各層2000人以上となり、インターネット上の話題をつねにさらっている。  なぜ人々は奢ってまでも彼に会いにいくのか? 彼の唯一無二の「奢られ活動」の原点を記した著書「嫌なこと、全部やめても生きられる」が12月20日に発売された。  その中から、いくつかお届けする。

「○○してくれる人」より「○○しないでいてくれる人」を大事にしたほうがいい

 「プロ奢さんって好きな人とかいますか?」とたまに聞かれます。僕は人間は不快じゃなかったら基本的に好きです。好きというか、「嫌いじゃない」。  僕は他人のことを「いい人」と「悪い人」「普通な人」とかで分類していません。なんとなく「近くで生きていてほしい人」と「望めば近づける場所で生きていてほしい人」「遠く離れたところで生きていてほしい人」くらいの感じ。  結構「好き」っていうと、みんな「プラスとプラスとプラス」を求めるじゃないですか。「イケメン」で「面白くて」「優しい」とか。僕はそういう基準じゃなくて、自分にとって「~をしてくれる人」ではなく、「~をしない人」のほうが大事だと思っています。つまり、相手に何かを望んでるわけではないんですね。たとえば女性が恋人を探すときって「めちゃくちゃ金を稼いでくれる」とか「いい家に住んでる」とか。  そういう「自分にとってプラスになるものを貰えるから」というところで検索かけている人が多いイメージがあります。これはもちろん男の人も同じですけどね。

グーグルでいう「マイナス検索」で探す

 でもそういうプラス検索で考えると、ヒットする人がすごく限られてくるし、もし自分の期待するものが得られなかった場合、一気に大きなマイナスに反転してしまう恐れがあります。  だから僕は人間は「マイナス検索」から入るぐらいがちょうどいいよなあと思っています。まあなんでもいいんですけど、「嘘をつかない人」とか「干渉してこない人」とか。「~しない人」で検索すると、それだけでヒット率はだいぶ上がるし、その上で自分にとって嫌なことはしてこないわけだから不快な思いもしないで済みます。  さらに「マイナス検索」のいいところは、相手に必要以上に期待しなくなるところ。自分にとってプラスになるような要素ばかり並べてしまうと、相手に期待してしまうし、相手が「イケメン」じゃなくなったとき、「面白い人」じゃなくなったとき、ショックと理不尽な怒りが生まれます。  僕はそもそも人とそこまで長時間一緒にいようとも思っていないし、自分の機嫌は自分でとるので、相手に何かを「してもらおう」という期待がないんです。だから、嫌なことさえされなければ、とりあえずOKという気持ち。そうなると人にイライラすることもなくなります。自分にとって嫌なことばかりしてくる人は、「遠く離れたところで生きていてほしいなあ」と思いますけどね。   そこに立脚した場合、僕に「何かをしてくれる・与えてくれる人」よりも、嫌なことをしないでくれる人のほうが大事だったりします。たとえば、「掃除してくれる人」より「汚さないでいてくれる人」には気付きにくい。そういう人は、側にいても認識するのが難しいので、遠くを見るよりも、近くの人間関係の中から探してみるといいと思います。  そもそも、プラス検索がデフォルトの人の「好き」に入ること自体がかなり難しいのに、それが各々何通りもあるって考えたら、たくさんの人に好かれるということがどれだけ無茶ぶりかわかるはずです。「人に好かれたい」というのはとても人間的な感情だなあと思いますが、みんなにとっての「いい人」を維持するのはめちゃくちゃコストが高いのです。  そもそも人間の間には善いも悪いもなくて、ただ適切な距離感があればいい。僕はそう思っています。自分にとって都合の「いい人」を探すのをやめ、誰かにとって都合の「いい人」になるのをやめれば、一気に人間関係はラクになるんじゃないでしょうか。 ●まとめ ・自分が望む条件を持つ人を、プラス検索で探そうとすると、ヒットする人が限られてくるし、過剰な期待をかけてしまうようになる ・人間関係はマイナス検索で探すくらいがちょうどいい ・たくさんの人に好かれようとすると、すべての人の検索条件に適合しなければならず、コストが甚大である <文/プロ奢ラレヤー 撮影/山川修一(本誌)>
本名、中島太一。23歳。「他人のカネで生きていく」をモットーにツイッターを介して出会ったさまざまな人に「奢られる」という活動をし、現在フォロワー約9.8万人。奢ってくれた人々との邂逅を綴った「奢ログ」を含む日々の考察を有料note「プロ奢ラレヤーのツイッターでは言えない話。」として配信中。著書『嫌なこと、全部やめても生きられる』(扶桑社刊)、『プロ奢ラレヤーのあきらめ戦略』(祥伝社)。
嫌なこと、全部やめても生きられる

「逃げたら負け」と思っている人々へ。"目からウロコの意識低すぎ実践哲学"
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