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「困ったふりしてマウントを取る」技術/マウンティングポリスが解説

マウンティングポリスのマウントフルネス人生相談──人生はマウントで攻略できる

 日本で市民権を得て久しい「マウンティング」という言葉。「マウント」とも略称され、多くの場合、職場やコミュニティー等において、相手より上位の立場であることを誇示する意味合いで用いられる言い回しだが、「人類の歴史を振り返って見れば、太古の昔から現在に至るまで、人間のあらゆる行動はマウンティング欲求によって支配されてきた」と、マウンティング研究の第一人者・マウンティングポリス氏は語る。
マウンティングポリス

マウンティングポリスのツイッタープロフィール

 本連載は、「マウンティングを制する者は人生を制する」というマウンティングポリスの仮説のもと、「誰もが自分らしくマウントを取ることができる豊かな社会の実現」を目指し、我が国におけるマウンティングリテラシー向上の必要性/重要性を訴えるマウンティングポリスが、自身の元に寄せられた様々な人生相談に対して、マウンティングの観点から回答していく企画である。今回は、本連載を始めるにあたって、「そもそもマウンティングとは何か」「なぜ、マウンティングについて考えることが重要なのか」について同氏に解説してもらった。
(以下、マウンティングポリス氏の寄稿) ※ なお、本連載は事前の予告なく、打ち切りとなる場合があります。

「マウントを取りたい」という、おのれの欲求に向き合う

 はじめまして、マウンティングポリスです。ここ数年、20代~30代のビジネスパーソンの方々を中心に、キャリア/生き方に関する人生相談を受ける機会が頻繁にあったのですが、彼らの悩みを聞いているうちに、 ●多くの人々が、就職先や結婚相手を選ぶ際に、「他者に対してマウントを取れるか否か」を重要な判断基準の一つとして意思決定を行っている ●SNSの普及により、その傾向に拍車がかかっている。「1億総マウント社会」を生きる上では、自身に内在するマウント欲求に自覚的に向き合わなければ、不毛なマウント競争に巻き込まれてしまう ●逆に、自分だけのマウントポジションを確立し、誰からもマウントを取られることのない「マウントフルネス」の状態に到達することができれば、豊かで満ち足りた人生を手に入れることができる という考えを抱くようになりました。それ以降、マウンティングという概念を独自のやり方で研究するようになったのですが、その中で、私の頭の中で思いついた考えをツイッターでメモ代わりに発信していたら、ある日、扶桑社の編集者の方からご連絡を頂く機会があり、今回のマウンティング連載のご依頼を頂いた次第です。 連載依頼 連載の内容としては、すでに述べたように、皆さんから寄せられた人生相談に対して、マウンティングの観点から回答させて頂く形式を想定しています。また、状況次第では、マウンティングに関するコラム等も執筆させて頂くかもしれません。今回は、それらに先んじて、連載の第一回目として、「マウンティングとは何か」について初心者向けに解説して欲しいというご要望を頂いたので、思うところを簡単に述べさせて頂ければと思います。

マウンティングは自身の優位性を示す行為

 マウンティングとは、他者に対して自身の優位性を誇示する行為のこと。もともとは、サル等による序列確認のための自己顕示的な行為のことを指していましたが、現代社会においては、このようなわかりやすいマウンティングではなく、一見するとマウンティングには見えないハイコンテクストなマウンティング手法が主流となってきています。  実際、年収や社会的地位の高いビジネスエリートほど、謙虚で紳士的で利他的な人物であるように自分自身をブランディングしつつも、さりげないマウント要素を会話の中に散りばめる能力に秀でた「マウンティング巧者」が多いなという印象です。  ちなみに、「マウンティング」というワードをGoogleで検索してみると、「マウンティングおじさん」「逆マウンティング」「マウンティングゴリラ」「マウンティング上司」「マウンティングママ」というように、非常に多様な関連キーワードが出現することにも驚かされます。

困ったフリをしたマウンティングが最近のトレンド

 上述したように、単なる自慢マウントに見えてしまうと、逆に嫉妬や批判を生んでしまいますし、周囲からの「いいね」も集められません。そこで、マウンティング巧者が良くやるのが、「困ったフリをしたマウンティング」です。  具体的な事例をいくつか挙げておくと、 ・来週の国際会議の資料が全然できてない。ヤバイ… ・学生時代、現代文が得意で、教えてくれって友人から良く頼まれてたんだけど、何を教えれば良いかわからなくて本当に困った。だって、本文中に答え書いてあるじゃん ・海外出張続きで時差ボケで死にそう。来週はニューヨーク出張…これじゃ、身体がいくつあっても持たないよ…  といった具合です。どうでしょう、少しずつイメージが沸いてきたでしょうか。
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※写真はイメージです

 こういったマウンティング事例を通じて思うのは、タワーマンションや車、高級時計などを所有していることが「マウンティング材料」として強力に機能していた時代を経て、ここ最近は、何かを所有することではなく、自身の能力の高さや幅広い人間関係、さらには先進的なライフスタイルを実現していることを「チラ見せ」するようなマウンティングが増えてきているなということです。この辺りについては、別途、詳細に述べさせて頂きたいと思います。
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自分だけのマウント軸を見つけること
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