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“マスク警察”も手を焼く「マスクをしない人たち」の言い分

 先日、“マスク警察”に関する記事を執筆し日刊SPA!で配信したところ、少なくない反響があった。だが、逆に筆者の元に多く寄せられたのは「マスクをしていない人が多すぎる」という情報提供であった。

“マスク警察”以前に「マスクをしない人が多すぎる」

マスク

マスク着用は「新しい生活様式」において、基本的なマナーとなっているが…(写真はイメージです。以下同)

 マスク警察とは、マスクをしていない人に対して、所構わず怒鳴り散らす人を差す。主にSNSを中心に広まった言葉である。  情報提供者で神奈川県在住のドラッグストア従業員・満本俊彦さん(仮名・30代)が言う。 「現在、入店するお客様にはマスクの着用をお願いしているのですが、無視してマスクを着用せずにやって来られる方がいます。そういった方にはお声がけをし、入店をご遠慮してもらうのですが……」(満本さん、以下同)  満本さんの店にやってきたのは、マスクをしていない人に一方的に攻撃を仕掛ける「マスク警察」とは真逆の人物だった。 「50~60代くらいの中高年の男性客でしたが、その日は暑かったこともあり、マスクで熱中症になったら責任を取るのか、と凄まれたのです。さらに、どうしてもマスクをつけて欲しかったらマスクを寄こせとまで……。仕方なくそのままお店に入ってもらいましたが、他のマスクを着用されたお客様には迷惑がかかって大変でした。しかも例のお客さん、結局何を買うでもなく、店内を5分くらいぶらぶらして出て行かれました。何だったのかと」  さらに驚愕すべき事実が後日判明する。実はこの迷惑極まりない男性客、緊急事態宣言下の5月、毎朝開店前に店前に並び、在庫が底をついていたマスクを「今日は販売しないのか」と店員に食ってかかっていた男だったというのである。 「店長に事情を説明したところ、防犯カメラを見返して、『あ! あいつだ!』となって……」

結局、誰かに強く当たりたいだけ

マスク 千葉県在住の家電量販店従業員・森本真純さん(仮名・20代)も、マスクをしない人々の身勝手な行動により神経をすり減らしていると訴える。 「当店でも、お客様に入店時のマスク着用をお願いしていますが、年齢を問わず、なぜマスクが必要なんだと文句を言って来られる方が多いです」(森本さん、以下同)  特に多いのは「私がコロナだというのか」とか「バイ菌扱いするのか」といった罵声であるという。「新しい生活様式」が求められる中、他人と距離をとったり、手洗いなど消毒の徹底を日常的に行うのは「常識」になりつつあるが、どうしてもこれを受け入れたくない人たちが存在するのである。 「結局、誰かに何かしら文句を言いたいだけの人たちだと思うようになりました。体格の良い男性従業員がお願いすれば言うことを聞く人でも、私のような背丈の小さい女性が申し訳なさそうにマスクの着用をお願いすると逆上されるのです」  「マスク警察」について取材した民放局情報番組ディレクターも次のように話す。 「結局、マスク警察だろうが、マスクをしたくない人たちだろうが、自分より立場の弱い人に強く当たりたいだけ、口実はなんだっていいんです。こういうのをテレビで取り上げるからダメなのだ、とネット上でこき下ろされたりもしますが、実際にそういう人がいるわけで。突然こういった人たちに絡まれて嫌な思いをするより、事前に存在を知っておいてもらった方が、いくらか対処のしようがあるでしょう。大切なのは、絡まれないようにすること、絡んできそうな人には近づかず無視すること、これに尽きますが……」(民放局情報番組ディレクター)  もはや、こうした迷惑な人々は、突然の夏の夕立のようなもの、なのかもしれない。雨に濡れたからといって天に文句を言ってもしょうがなく、急すぎて傘の用意もないとなれば、ただただ逃げるしかない、関わらないようにするしかない……のである。<取材・文/森原ドンタコス>
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