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コロナ禍の貧困の現実…NPO法人の年越し炊き出しに密着した

東池袋中央公園で行われた年末炊き出し

 2021年12月25日、東京・池袋。クリスマス当日の土曜日、街中には華やかなコスプレ衣装に身を包んだ若者たち、カップル、家族連れが目立った。一方遊び場の集まるサンシャイン60ビルのすぐ横、東池袋中央公園には生活物資の詰まった段ボール箱が重なり、「生活相談受け付け」の看板が設置されていた。

寝袋は貴重品。寝袋を求める人の中には行政によって寝床を撤去されてしまい、困っているという声が

 最初はまばらだった人影も、炊き出し開始予定時刻の15時を過ぎると続々と物資を求める人々が集まってくる。肌寒くなり、座っているだけで足がつりそうになる頃には、公園を埋める人だかり。中高年の男性を中心に、中には20代、30代と思しき人や女性の姿もあり、もはや貧困問題は全世代に共通の社会的課題であることにあらためて気づかされる。  公園を突っ切る若者の中には物珍しそうに周りを見渡す人やニヤニヤ笑って通り過ぎる人もいたが、貧困は他人事ではない。未曽有の「第5波」感染拡大と緊急事態宣言による休業、オリンピックと公的排除、見えない障害。2021年の貧困問題を、NPO法人TENOHASIの炊き出し活動から考える。

様々な立場から炊き出しに参加する人々

炊き出しに参加していたAさん(65歳)

 多くの参加者が取材NGの中、現在65歳だというAさんは取材を快諾してくれた。話し方もはきはきしており、興味深そうに輝く瞳が印象的だ。 「元々建築現場で働いていたんですが、定年退職しました。年齢から次の仕事も見つかりません。離婚後は家族とも疎遠で、今は月14、5万の年金生活で何とかやりくりしています。この炊き出しには去年の3月ごろから参加しているんですが、食費が浮いて本当に助かってますよ」  こうして炊き出しに並んでいると、他の参加者と身の上話をすることもあるという。 「若い人は去年から多くて、やっぱりほとんどが飲食業でしたね。年齢いった人でも、学歴や社会的立場がきちんとした人が珍しくなかったです。元医者や大学教授、警察官だったなんて人もいましたから。本当ですよ」
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任侠で床屋ボランティアになった男性も
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