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中国で『徳川家康』がビジネス本として大ヒット

ビジネス本ブームの日本。己を鼓舞してくれたり疲れたココロを名言で癒してくれたり、サラリーマンのいかなる悩みも受け止める充実っぷりである。が、裏返せば、現状への不満不安の表れでは? 世界各国、ビジネス本の売れ筋を見れば、その国の経済や社会、文化が見えてくる! 【中国】口のきき方を知らない若者向けマナー本が急増!
徳川家康

日本の本も人気。稲盛和夫の『生き方(活法)』は100万部を突破。松下幸之助のファンは多く『徳川家康』(山岡荘八)は「松下幸之助が社員の必読書とした」と売り出し大ヒット

「中国のビジネス書でほとんどを占めるのは成功者の本ですね。中国のeコマース最大手アリババのジャック・マーの本はジョブズの本と並ぶ人気です。そのほか、徹底したサービス、従業員への福利厚生の充実で街の小さな火鍋屋から全国チェーンに発展した『海底撈』の本も売れているようです」  そう語るのは、上海のコンサルタント会社社長の佐藤愛氏。誰もが一攫千金・成功を夢見る中国。出版後に不正などで失墜することも少なくないらしいが、カリスマ社長の成功譚に関心が寄せられるのは納得である。が、佐藤氏によると、近年ではマナーや自己啓発系の本も増えてきたという。 「一人っ子政策も30年以上。周囲から甘やかされて育った“小皇帝”が大人になり、コミュニケーション能力ややる気が希薄な人材が増えているという背景があるのでしょう。中国では大学を卒業した就職浪人が毎年数百万人に上ります。今後、学歴だけでなく内面を重視した採用が行われるようになるでしょうから、マナーや自己啓発、コーチングといったジャンルの本が増えるのでは」(佐藤氏)  また、『寂しさに耐えられる人が勝つ(耐得住寂寞的人最强)』といった本のように、自己啓発系本のベストセラーには、「寂しさ」「淡定=穏やかかつ果敢に対処する」「舎得=捨てることで得られる」といった廉潔な言葉が目立つ。陰りも見える中国経済、拝金主義へのお疲れモードを反映しつつも、これらの本も「成功、励志」にジャンル分け。あくまでも「成功」がキーワードなのは中国らしさか。  らしさと言えば、北京の書店のベストセラー本コーナーに並ぶ、『毛沢東に学ぶ管理学(向毛学管理)』、『毛沢東に学ぶマーケティング(毛著学营销)』といった本。ビジネス書でも毛沢東は健在だ。 ⇒中国でベストセラーのビジネス本4作品はこちら
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※本のタイトルは邦訳が出版されているものは邦訳のタイトルを。そうでないものは、編集部がタイトルを訳しました ― 各国ビジネス本の「何で?」なベストセラー【1】 ―
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