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AIJ事件の顛末「オプションの売りには要注意」

◆マネーな人々 今週の銭格言 【選者】人気ブログ「金融日記」管理人 藤沢数希氏 全国94の企業年金基金などが運用を委託していたAIJ投資顧問は約10年で247%になると宣伝していた。その投資手法は主に「オプションの売り」で、実は証券会社のトレーダーにも同様の手法を使う人は多いんだとか ◆ちょっとやられたぐらいでビクビクするな。オプションの売りには要注意  日本版マドフ(米国で起きた史上最大の巨額詐欺事件)となったAIJ事件。虚偽の運用報告で毎年高利回りを演出し続け、日本の企業年金基金から1500億円余りの資金を預かっていた。運用報告書によれば、これらは2000億円に増えているはずだったが、実際には多額の損失を出し、ほとんど残っていなかった。解約請求には、ほかの顧客から預かった資金を回し対応。資金が集まり続ける限りバレないネズミ講ファンドだ。これはマドフと同じで、実質的に支配していた証券会社を使って金融商品を売買し、虚偽報告がバレないようにしていた。米国の本家は2000億円じゃなくて5兆円と、スケールが違ったけど。  このAIJの浅川和彦社長は証券取引等監視委員会の強制捜査を受け、マスコミからも大バッシング、国会でも執拗に喚問されているが、なかなか堂々としている(笑)。これだけの事件を起こしてもまったく動じることがないのは、やはりあの野村證券で鍛えた胆力か。最近は金融業界のリストラが激しく、1億、2億やられたぐらいでクビになるんじゃないかとビクビクしている証券会社のトレーダーやヘッジファンド・マネジャーは、この点に関しては見習うべきかもしれない(笑)。  浅川氏は虚偽の運用報告については認めているが、騙そうと思ったことは一切ないと言い切っている。金融商品取引法の契約の偽計は最大で懲役3年だが、捜査当局としては、懲役10年の詐欺罪で立件するため必死になっている。本家マドフは懲役150年になったが……。 【後編】に続く⇒ https://nikkan-spa.jp/207724 AIJ事件の顛末「チビチビ勝ってドカンと負けた」 【藤沢数希氏】 欧米の研究機関にて計算科学、理論物理学の分野で博士号を取得。その後、外資系投資銀行に転身。主宰するブログ「金融日記」は月間100万PV、ツイッターのフォロワーは6万人に及ぶ。最新刊『「反原発」の不都合な真実』(新潮新書)が発売中
物理学研究者、投資銀行クオンツ・トレーダー職等を経て、作家・投資家。香港在住。著書に『外資系金融の終わり』『僕は愛を証明しようと思う』『コスパで考える学歴攻略法』などがある
「反原発」の不都合な真実

『反原発』を冷静に論ずる

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