AKBあっちゃん似美人女優も魅せる!? ロマンポルノが実はスゴい

  『箱の中の女 処女いけにえ』、『(秘)色情めす市場』、『四畳半襖の裏張り』、『生贄夫人』、『花芯の刺青 濡れた壷』……思わずギョッとしてしまう単語の数々を聞いて、ピンとくる人は70〜80年代に青春の過ごした世代か、一角の映画好きのどちらかだろう。

 この欲情的で、強烈なインパクトを放つタイトルの正体は映画の作品名、それも娯楽の多様化の波に飲み込まれ、訪れた日本映画の斜陽期を支えた「日活ロマンポルノ」のなかでも特に初期の名作と呼ばれているものたちである。その全盛を知らない年代には、ロマンポルノとピンク映画は混同されがちだが、若松プロダクションなど独立系の映画製作会社のピンク映画に対して、ロマンポルノは日活製作の成人映画ブランド。日活が一般映画のために使用していたセットやスタジオなど撮影所システムを用いることで、質の高い作品を量産できた。また内容も「10分に一回は『絡む』シーンを入れる」、「上演時間は70分程」といった一定のルールはあるものの、内容に関しては製作陣に委ねられていた。

 そのため芸術性、作品性を追求した意欲的に作品がこの時期多く生まれたといわれ、その後の映画界を担うことになる多くの才能を輩出。『NAGISA-なぎさ-』でベルリン国際映画祭キンダーフィルムフェストでブランプリを受賞した小沼勝や『ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜』でモントリオール世界映画祭で最優秀監督賞を受賞した根岸吉太郎なども、ロマンポルノからそのキャリアをスタートさせている。

 日本では回顧上映をする度に女性の観客が増えているロマンポルノは、世界でも現在に至るまで高く評価され続けている。20世紀を代表する映画監督で、ヌーヴァルヴァーグの旗手であるフランソワ・トリュフォーは『四畳半襖の裏張り』を鑑賞し強い衝撃を受けたといわれ、タランティーノ監督は『キル・ビル』にロマンポルノを代表する女優・風祭ゆきを出演させている。昨年のパリシネマ映画祭ではロマンポルノの特集が組まれ、SMの女王・谷ナオミが登壇し、大きな話題を呼んだ。世界中で再評される中、日活の創立100周年を機に、映画評論家の蓮實重彦、山田宏一、山根貞男の3氏が約1100本のなかから選りすぐった32作品を上映する企画「生きつづけるロマンポルノ」が渋谷ユーロスペースで現在公開中のほか、全国でのロードショーが決定している。

 初めて見る際にAVと同じ感覚で臨むと違和感を覚えるかもしれない。しかし射精産業として、一人鑑賞用テレビサイズで作られるAVと、映画作品との表現方法が違うのは当然で、ロマンポルノはスクリーンでの鑑賞用に作られた映画作品で、その時代の若者の精神が反映されている。当時の独特の官能表現は若い世代には逆に新鮮な印象を与えるだろう。「AKB48前田敦子似」(コラムニスト・辛酸なめ子氏談)の主演女優の伊佐山ひろ子ほか、ヒロインたちの妖艶な演技は下心抜きでも楽しめる。(余談だが、伊佐山は「北の国から’84夏」で、五郎から「子供がまだ食べてる途中でしょうが!」と怒鳴られるラーメン屋の女性店員の役を演じている。)

 難なく無修正モノまで手に入る昨今、飽和してしまったエロに食傷気味なら、ひと味違った昭和のエロスを堪能してみるのはいかがだろうか。

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<取材・文/日刊SPA!編集部>

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