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デスクに要塞を建設! 周囲を拒絶するサイコな同僚

サイコな人々――それは、普通の社会生活に紛れて暮らしながらも常軌を逸した狂気を宿している人たち。同僚が、取引先が、大学の同期が……。ある日ふとしたキッカケでサイコな人へと豹変したとき、我々はどう対処すればよいのか。実際に小誌に寄せられた、恐るべき被害報告をもとに、ヘルドクターくられ氏とともに考える 【CASE4】 社内デスクに要塞を建設中! 消臭スプレーで周囲を威嚇する女 証言者:東尚史さん(仮名)33歳・アパレルデザイナー
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 世間から華やかと憧れられるアパレル業界。しかし「実際の仕事は地道な作業が多いんです」と明かす東さんの勤める会社には、そのイメージと現実のギャップに耐えられなくなって、サイコ化してしまった同僚がいる。 「Kさん(28歳・♀)は、ウチの採用試験を何度も落ちては受け続け、やっとのことで入った新人でした。そのためか、言われたことはきっちりこなす優等生。しかし、半年ほどして、地味な仕事の多い業界の現実に気づき、『こんなはずじゃなかった』と小さくグチをこぼしたことを境に、周囲の人間を拒絶しだしたんです」  社内のトイレを使う際も、社員のいるフロアを通らずに非常階段から回り道。昼食の際も、周りが気を使って誘っても、それを断りファストフードでテイクアウトして、社内で一人で食べる。そこまでは業務でほかの社員を困らせることはなかったが、Kが周りと自分を隔てる”壁”をつくり始めてから、オフィスには徐々に異様な雰囲気が漂うようになった。 「デスクの両サイドに雑誌や本を高く積み上げて、自分の視界にパソコンしか入らなくした。しかもその積み上げた雑誌の上に、ランチのテイクアウトで使用した空の紙袋を立てる。まさに要塞です」  自分の城を築き、さらにヘッドフォンをして爆音でクラシックをかけながら仕事をするK。むろん、電話の呼び出し音やほかの社員の呼びかけも聞こえない。さすがに直属の上司が注意したが、「それってパワハラですよね?」と涼しい顔で無茶苦茶なことを言う始末。さらに、被害は別の部署の社員にまで及んだ。もう一人の証言者、Cさんは、当時を思い出すたびに震え上がるという。 「彼女の席へ行き、仕事の軽い打ち合わせをして席に戻ろうとしたところ、『シューッ!』と後ろからスプレー音が。振り返ると、彼女は消臭スプレーを威嚇するようにまき散らしていた。あたりがシトラスのいい香りに包まれるなか、私は怖くなってすぐにその場を立ち去りました」  明らかに業務に支障が出ているのだから、上司が思い切って最後通牒を突きつければいいと思うのだが、「そうはいっても、社員はなかなか辞めさせづらい、というのが会社の事情。”触らぬ神に祟りなし”という雰囲気で、現在は本人の”症状”が改善するか、自ら辞職を申し出るのを待っている状態です」と東さんは嘆く。  理想と現実に折り合いがつかない人が会社に残るとサイコ化。そんな法則すら成り立つ気もする。 【対処法】 ゴミ屋敷の主のような要塞型サイコさんの特徴は、テリトリー意識。別の生き物として捉えて接すれば大丈夫。無理に距離を詰めることやプライベートに招き入れることは避けたほうが無難でしょう 【監修者 ヘルドクターくられ氏】 マッドサイエンス集団「薬理凶室」主宰。大きな口では語られない科学の裏分野に造詣が深い。13万部を突破した「アリエナイ理科ノ教科書」シリーズの続編を『ラジオライフ』で連載 イラスト/テラムラリョウ ― 友人がサイコ化!そのとき私は…【4】 ―
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