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脱都会し手に入れた新築一戸建てが“化け物屋敷”に!

給料が上がらない時代の今、都市部で働く若者は高い家賃に生活費を圧迫され、貯金もできず、明るい未来像も描けない。そのうえ、毎朝、満員電車に揺られて通勤し、夜遅くまで酷使される。そんな都会での生活に疲れ、田舎での暮らしを目指す人が増えているという。 実例報告 憧れの田舎暮らしに絶望を感じた理由とは? 「30cm超の巨大蛾が飛び回る新築戸建てが”虫食い”状態」 長野・中村和夫さん(仮名・38歳)建築設計  都内の大手ハウスメーカーで建築士として働いていた中村さんが、妻子と共に、独立開業の場所として選んだのは、地縁のない長野県北部の地方都市。 「自分の趣味に合う美術館が多くて、よく観光で来ていました。この場所に住むのは昔からの夢だったんです」  サラリーマン時代に蓄えた貯金の大半を費やし土地を取得。自らが設計・デザインした北欧風の邸宅は一昨年に完成した。贅沢なベルギー調の家具が並ぶサロンスペースには石造りの暖炉があり、夜になって天井を見上げると、大きな天窓の外には満天の星空が広がる。誰もが羨む、理想のカントリーライフを満喫……かと思いきや、中村さんの表情は曇りがちだ。
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「田舎の虫がここまで凄まじいとは思いませんでした。冬以外は虫と格闘する毎日で、ひとときも休まる暇がありません」  特に夏ともなれば、カナブン、カメムシ、セミ、バッタ、カマキリ、蛾とありとあらゆる昆虫が、遠く北アルプス方面から、玄関灯を目指して大挙して押し寄せてくるという。 「田舎の虫は大きくて元気があって攻撃的なんです。つい最近も、体長30cmはあろうかという巨大蛾が、鱗粉を撒き散らしながら狂ったように家の中を飛び回り、家族全員パニックになりました。あと、とにかく多いのが蟻と蜘蛛。夜中に寝苦しくて目を開けたら、僕の顔に、これまた体長20cmくらいの巨大蜘蛛が這っていたんです」  数日後、瀟洒な北欧家具に似つかわしくない”蚊帳”を寝室に導入したのは言うまでもない。  毎朝、玄関先には足の踏み場もないほどの虫の死骸が散乱し、奥さんは掃除するたびに「こんな化け物屋敷だとは思わなかった」と小言を繰り返すという。 「W杯のブブゼラなんてかわいいもんです。夜中に響きわたるカエルの大合唱に比べたら……」 実際に暮らせば、生き物の尊い命もうっとうしいだけだ。 イラスト/サダ ― 脱都会[田舎暮らし]は生き地獄【7】 ―
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