日本のお年寄りが一番投資上手だった【後編】

◆マネーな人々 今週の銭格言 【選者】人気ブログ「金融日記」管理人 藤沢数希氏 欧州の債務問題に端を発した世界景気の先行き不安と世界的な株安で、6月4日、TOPIXはバブル崩壊後最安値を更新し、約28年ぶりの低水準まで下落した。過去を振り返ると、一体、何に投資をすればよかったのだろうか? ◆日本のお年寄りが一番投資上手だった。一番クソだったのはゴールドマン・サックス【後編】 ⇒【前編】はこちら https://nikkan-spa.jp/230624  下のチャートは、それぞれの資産に「5年前に100万円を投資したら、現在いくらになっているか」を表したものだ。
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5年前にさまざまな資産に100万円投資していた場合、現在いくらになっているかを表したもの。最もパフォーマンスがよかったのが日本国債。最悪なのがGSの株主になることであった

 ゴールドマン・サックスの次にダメなのが、経済評論家やファイナンシャル・プランナーが自信満々でススメていたTOPIXなどの日本株のインデックス・ファンドへの投資だ。MSCI Kokusaiなどの外国株インデックス・ファンドに投資することも、円高と株安のダブル・パンチで全然ダメだった。これらのインデックス・ファンドに投資していたら、財産が半分ぐらいに減っていただろう。  圧倒的にパフォーマンスがよかったのが、日本国債に投資することだった。年率1.5%ほどの金利で運用していれば、今頃は7.5%程度は財産が増えていたことだろう。ゆうちょ銀行に定期預金をしてもよかった。つまり、円でそのまま何もせずにほっておいた日本の多くのお年寄りは、非常に賢明な投資をしたのだ。  さまざまな経済評論家が、膨大な債務残高を抱える日本国債や円は暴落すると警告してきたが、世界の中で圧倒的に買われたのが円だったのである。一体、いつになったら暴落するのだろうか。  外資系投資銀行は、金融市場の中でカジノを運営している胴元などと非難されることがあるが、カジノだったらオーナーである株主のお金をこんなになくすこともなかっただろう。金融のプロは、カジノ運営に関してはラスベガスのホテルに教えを乞うべきだし、投資に関しては日本のお年寄りから学ぶべきだろう。 【今週の数字】 ゴールドマン・サックスに投資していたら 5年間で3分の1 世界最強の投資銀行と言われるGSの株価は、日本円で見ると5年間で3分の1になった。外資系投資銀行が株主に利益を還元できないなかで、日本円でタンス預金していた日本の老人が世界で一人勝ちした 【藤沢数希氏】 欧米の研究機関にて計算科学、理論物理学の分野で博士号を取得。その後、外資系投資銀行に転身。主宰するブログ「金融日記」は月間100万PV、ツイッターのフォロワーは6万人に及ぶ。最新刊『「反原発」の不都合な真実』(新潮新書)が発売中 ― 日本のお年寄りが一番投資上手だった【2】 ―
物理学研究者、投資銀行クオンツ・トレーダー職等を経て、作家・投資家。香港在住。著書に『外資系金融の終わり』『僕は愛を証明しようと思う』『コスパで考える学歴攻略法』などがある
「反原発」の不都合な真実

『反原発』を冷静に論ずる

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