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「困り顔」萌えのメカニズム

女子中高生のカリスマ歌手・加藤ミリヤ。最近の彼女をテレビや誌面で見るたびに「なぜそんなに困り顔なんだ?」と疑問を抱いたことから始まったこの企画。よくよく調べてみると、どうやら「困り顔」ブームが来ているらしく…… 「困り顔」萌えのメカニズム  近年、「困り顔」がウケている背景には、「生活基盤と結びついているものがあるはず」と前出の石黒氏は分析する。 「実は、これまでにも困り顔ブームはあったんです。’60~’70年代前半ぐらいの藤圭子や、青江三奈、いしだあゆみなどは、みんな困り顔でした。戦後すぐの本当に大変な時代には、美空ひばりなど、パワフルな人が支持されたけど、そこまで必死じゃなくて、もっとユルくなったのが『困り顔』の時代。  それから、景気が高値安定となり、キャンディーズなど笑顔路線がウケ始め、いったん困り顔はいなくなりました」  そのメカニズムとはこうだ。 「昔から『弱っている人を守ってあげたい』という思いは人間の本能としてあったけど、それが今、顕著になってきた。例えば、バブルの頃などは、男もイケイケだから、強い女でも相手にできたけど、景気の低迷が続く今は男も弱り、弱っている女と寄り添いたくなっている。女のほうも、媚びない女、強い女で押せたのが、そうも言ってられなくなり、戦略としてか弱さをアピールするようになった。これは、”弱含みの時代”だからこそ。『自分も弱いけれど、もっと弱いものを守りたい』という人間の本能的なものがブームを後押ししているのではないでしょうか」  今、支持されている「困り顔」には、皆藤愛子や堂真理子ら女子アナや蒼井優、綾瀬はるかなど。その共通点は「クラスにいそうで、無理め感のないかわいいコ」。 「実際に付き合っているコが困っていたら、助けることがマストになって、自分に責任が出てきてしまう。だからクラスにいるかわいいコが困ってるぐらいが、ちょうど良い。『なんとかしてあげたい』という男の自尊心や王子様願望が刺激され、グッとくるのでは」  さらに、そこに原体験も重なるのではと言う。 「困り顔=SM的なエロとすぐに結び付けるのは、安直すぎ。今回挙がっている困り顔美女もエロを感じさせる人はほとんどいない。むしろ、困っている顔を見ると、心の奥底を引っ張っていかれるような感情が湧き上がる。それは原体験として、母親が困っている姿を見て『なんとかしてあげたい』という男の子の本音がまずあり、その後、その対象がクラスの異性になって……というところと繋がると思います。この困り顔ブームは、ひょっとしたら、お互いを助け合いたいという、人間らしい良い時代の幕開けなのかもしれませんね」 【石黒謙吾氏
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著述家。分類王。『盲導犬クイールの一生』から『ダジャレヌーヴォー』まで幅広いジャンルの著書が。『2択思考』が10月に刊行<ブログ>http://www.blueorange.co.jp/blog/ ― ブームの[困り顔美女]って何だ【5】 ―
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