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ケニア人マラソン選手、強さの秘密

 マラソン世界歴代記録にズラリと名前を連ねるケニアのマラソン選手たち。層の厚さを物語るように、現世界記録(2時間3分38)保持者のパトリック・マカウはロンドン五輪代表から外れた。  ケニア代表に名前を連ねたのは、世界選手権2連覇中のアベル・キルイ、世界歴代2位の2時間3分42秒を持つウィルソン・キプサング、そして2時間5分3秒のタイムを持つモーゼス・モソップと豪華な布陣が選ばれた。なぜここまでケニア勢が強くなってきたのか? 8月にロンドンで行われる男子マラソンでそのケニア代表選手達に藤原新をはじめとした、日本代表は勝てるのだろうか?  ケニアの強さの秘訣、そして日本人選手たちの勝機について世界陸上エドモントン大会男子マラソン9位の西田隆維さんに聞いた。 ――マラソンの高速化が進む中、日本は高岡寿成氏が2002年10月13日に樹立された2時間6分16秒の日本記録以降10年もの歳月が経とうとしている。 「2008年9月28日、それまでの世界記録を一分近く縮める脅威的な2時間3分59秒というタイムをエチオピアの皇帝ハイレ・ゲブレシラシエが叩き出したんです。ここからマラソンの高速化に拍車がかかりました」 ――ケニア人の強さはなんだと思いますか? 「ケニア選手達の強さについては、世界中の様々な研究者の方が調査しています。その中で一般論として明るみに出てきているのが、骨盤の傾き、腱の長さ、心肺機能の強さ、背筋力の強さ、足前方での接地、足のひきつけの速さなどです。これらは特に『速さ』につながる特徴なのですが、『強さ』の理由は身体的な説明では十分ではありません。特にここ近年の顕著なパフォーマンスアップの理由は、卓越した身体能力以外にも、別の理由があるはずなのです」  西田さんは、現役時代に一緒に練習したチームメートのケニア選手、そしてケニアでの合宿を経験した日本人選手、日本在住のケニア人の話を素に興味深い話をきかせてくれた。 「現在、日本の実業団には数多くのケニア選手が所属しています。最近では、実業団だけではなく、大学、高校生までが日本にきて走っています。そのケニア人達は年に数回母国へ帰っているのですが、そこに強くなったポイントがあると思います。彼らの走る場所はある程度限られているので、そこにケニア人ランナー達が集結するのです。つまり、日本をはじめとした各国のトレーニングが持ち寄られていることになります。以前は自分より遅かった選手が合理的な練習を積む事により、速くなって帰ってきているのを目の当たりにし、ケニアに残っている選手たちはそのトレーニングを学んでいくことになります。その中で基礎的なトレーニング、走りこみなど抱負な練習量を日々こなしているというわけです」 さらに、様々なモチベーションもの強さの秘訣だという。 ⇒【後編】へ続く https://nikkan-spa.jp/255514 <取材・文/NANO編集部> 海外サッカーやメジャーリーグのみならず、自転車やテニス、はたまたマラソン大会まで、国内外のスポーツマーケティングに幅広く精通しているクリエイティブ集団。「日刊SPA!」ではメジャー(MLB)・プロ野球(NPB)に関するコラム・速報記事を主に担当。ロンドン五輪の期間には各種競技のレビューをお送りします!
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