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オーガニックブームに便乗する輩に騙されるな

今、時代は空前の野菜ブーム。だが右下の表にあげた「5つの誤解」をはじめ、野菜に対する妄信的な信仰は、逆に毒となることもある。「有機野菜」という言葉にひそむ危険性ほか、オーガニック神話の裏を追った オーガニックブームに便乗する輩に騙されるな 「オーガニックだから、安全でおいしいわけじゃありません。無農薬野菜は、外観は汚いし、不揃いだし、しかもなぜか高い!」  農業生産技術に精通し、農家の現場指導も行う農業コンサルタントの中村敏樹氏は、こう断じた。  オーガニック野菜の店先には、演出なのか「泥付き」の野菜が並べられているが、「ゴボウ、ネギなどは泥付きのほうが鮮度は落ちないが、ダイコンやニンジンは洗ったほうが衛生的で、傷みにくい」と中村氏は説明してくれた。  このような”勘違い”や”演出”の裏には、ブームに乗った安易な生産者や業者たちがいる。 「オーガニックブームで一儲けしようと新規参入した生産者は、そもそも技術が未熟で、安易に肥料を多めに施しがちです。有機肥料や堆肥は施肥時期や量の加減がかなり難しい。肥料が多すぎれば野菜の硝酸性窒素も増えます。有機栽培のアスパラなどは、土ではなく、堆肥の中で育てているようなものですよ(苦笑)。結果、安全・安心を謳った有機野菜のほうが、危険なこともある」  一方、昔から有機的な栽培を行いながら、そうとは名乗らない生産者も大勢いる。 「農業の名人である篤農家は、経験豊富で技術も高く、適量の農薬や化学肥料でも安全でおいしい野菜を作れるので、『有機』自体に関心がなく、有機農法を実践していても名乗ろうともしない。『有機農作物』の認可申請は手続きが面倒で、時間も申請料もかかる。名人にすれば、わざわざ申請する理由がないわけです」 「有機」の”冠”は味や栄養価を保証するものではないのだ。 「オーガニック、有機野菜こそが安全で正義という人は、『農薬、化学肥料=悪』と唱えますが、本当はそんなことはない。実はオーガニック野菜の生産者やオーガニックの農産物の流通はごく少数ですが、彼らは声が大きいので、食の安全に目覚めた消費者の耳目を惹きやすい。こうして”信者”が増えて、ブームとなった。まるで一種の宗教ですね(笑)」 【中村敏樹氏
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’56年、長野県の水稲・養蚕農家に生まれる。香川大学農学部卒業。コスモファーム代表取締役。日経レストラン等でコラム連載 取材・文/SPA!野菜裏事情調査班 撮影/水野嘉之  実験装置協力/株式会社堀場製作所 問:yoshiyuki.ueda@horiba.com ― 有機野菜の危険な裏事情【7】 ―
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