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【絵馬観賞・鼎談】絵馬に見る人間の欲とは?

【絵馬観賞・鼎談!】 絵馬に見る人々の願いとは? 映画監督の豊島圭介氏、演劇・文芸ライターの吉田大助氏、タレント・コラムニストの小明氏の3人が語る絵馬に見る人間の欲とは?
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小明(以下、小) 絵馬は面白いんですよね~。「ダイエットに成功してキレイになって、新しい彼氏ができて、お店指名No.1になって稼げますように。裁判に勝って、前の店からちゃんとお給料がもらえますように。たくさんの願い事すみません。その分、私は努力します!」だって(笑)。 吉田(以下、吉) 反省したね、最後(苦笑)。 豊島(以下、豊) 「サッカー選手と仲良くなれますように。稲本潤一さんと」もそうだけど、書いてるうちに、思い出したように、自分の欲がどんどん出てくるんだろうね。欲が膨らむっていうの?  願い事でも「女社長として成功し、有名になる」とか、「身体健全」とか、人生プランや目標をフレーズとして書くのはわかるんですよ。自分に言い聞かせることになるから。だけど、こんなに長いと覚えられないでしょ。  具体的に書いたほうが叶うって思うんじゃない?「同級生全員が認定認←間違えました。ごめんなさい 認定試験一発合格できますように」みたいに、誤字を神様に謝っているのもあるし、神様を信じているから具体的に本気で書くんだよ。  でもこれはどうかなあ。「5人の大富豪から求婚されますように♥ 石油王でも可」って……。夢が大きい(笑)。 吉「渋谷一のラーメン屋になりますように。◯◯屋」って絵馬を見たとき、「絶対、行かない!」って思いましたからね。宣伝かよ! 努力しろよ!と思いました。自分の力で叶えられるものを神様に頼むのは、イラッとしません?  そのマヌケさもいいんですよ~。一応、頼んでおく的な保険で。あるいは、最後のダメ押しとかね。ダメってわかってるけど、お願い!みたいな切なさがある場合もあって。最後の神頼みですよ。  神頼みっていうと……僕、下痢症なんですけど、電車の中でお腹が痛いときに”神様神様神様”って何度も唱えると、結構痛みが止まるんですよ。だからきっと神様はいるんですよ!  それはただの自己暗示です!  自己暗示も、大事ですよ。信じればいいだけなら、楽チンだし。絵馬は神頼みと決意表明の2パターンがありますね。この「働きたくありません」「楽をしたい」ってのは、どちらでもないですけど。  ツイッターみたいなものですよね。ちょっとした、つぶやき。  で、僕らが今、RT中(笑)。ま、彼らは神様を信じてないよね。  その一方で、フルネームで書いてる人も多いですね。住所まで書くなんて、気合入ってるな~。  僕、メールアドレスが書いてある絵馬を見たことある。仕事探してますって絵馬でしたけど、積極的なんだか、消極的なんだか。 絵馬に表れるのは人生の切実さ?  縁結びの神社には、「彼の奥さんが自殺してくれ」っていうのもあって……願い事って、実はダークな裏があるんですよね。  それは藁人形と同じですよね。でも自分の願いが、相手を呪うことになっちゃうのはイヤだなあ。  自分の幸せは誰かの不幸の上に成り立っている、と。どうしよう、自分の名前見つけたら。あ、でも私、縁切り神社で、「○○部長が早く死にますように 営業部一同」っていう絵馬を見つけて、部長がこれを見ればいいのにって思いました(笑)。  そういう絵馬って、ある意味、プラスな気もしません? 書くことで少し気持ちが晴れるというか。  人に言えないことを掃き溜めのように書いて発散しているみたいな。ほら、非公開のミクシィに悩みをしたためるのと似ていて。  それを絵馬に書くっていうのは、よほど追い込まれてるってことなのかもしれないですよね。  縁切り神社だと、人との縁だけじゃなくて、「病気と縁が切れますように」とか「彼がお酒とギャンブルを絶てますように」とあって、もう自分の力じゃどうしようもないときに、絵馬で神頼みをするんだなって思ったんですよね。  強欲っていうよりは、人生の切実さみたいなものを感じますね。  そんななかで、今絵馬を書くとしたら、なんて書きます?  そうだなあー。僕は「70歳になっても映画を撮ってたい」かな。  僕は、「会員制ガールズバーに、編集者がまた連れてってくれますように」(笑)。小明さんは?  私は「グラビアン魂に出られますように」って書きますよ。神様っていう編集者にあてて(笑)。 【豊島圭介氏
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「絵馬には人生の切実さを感じますね」 ’71年生まれ。映画監督。現在、映画『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』 が全国ロードショー中。『ソフトボーイ』のDVDが絶賛、販売&レンタル中小明氏
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「自己暗示も大事。信じればいいだけなら、楽チンだし」 ’85年生まれ。タレント・コラムニスト。フリーのアイドルとして、 ラジオ番組やネット番組にパーソナリティとして出演するほか、 ライターとして多数の雑誌にコラムを寄稿中吉田大助氏
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「自力で叶えられるものを神様に頼むのは、イラッとしません?」 ’77年生まれ。ライター・編集者。小誌『文化堂本舗』書評・ステージ レビューのほか、さまざまな雑誌で執筆活動。 「吉田が勧めるなら」と、そのカルチャー評には定評がある ― [強欲すぎる願掛け]に唖然!【6】 ―
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