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[田舎へ移住]を成功させる新法則【その1】

20~30代で、田舎暮らしを志望する人が増えている。しかも、世知辛い都会から逃れたいという、逃避行的移住ではなく、地域の活性化を図る社会起業だったり、第2の人生への挑戦だったり。”その町だからこそできること”を求めるポジティブさがそこにはある。都会生活に慣れた身からすれば、不便な生活、濃厚な人間関係などマイナス面を挙げればきりがない。そんな田舎暮らしで幸せを掴んだ人の成功談から、学ぶことは多いはず 東京・会社員→秋田・カフェ経営 大和道彦さん(43歳)& 千春さん(37歳) 鬱陶しいと思っていた人間関係に一番、助けられています
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「コーヒーを飲みながらの読書が好きなので、この店が近所にできてうれしい」と常連男性。夫妻とは共通の趣味であるマラソン話で盛り上がる  秋田県大館市の目抜き通りに、昨年1月、「新感覚参加型カフェ0+2(ゼロセカンド)」を開店したのが大和道彦さん・ 千春さん夫妻。千春さんが道彦さんを伴ってのUターン開業である。 「’09年のお正月に帰省し、アパート経営で一人暮らしをする父の不安を知ったんです。そのとき、そろそろ自分たちが楽しむこと以外にも目を向けようかなと思って。そう考えだしたら、アパートの入居者向けのカフェとか楽しそう!とアイデアが膨らんじゃって(笑)」(千春さん)  当然、千葉県出身の道彦さんは反対。しかし、身を置く建設業界は不況で効率最優先。充実感を味わう仕事もできない。「第2の人生もいいかなと」と承諾。
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「戻って半年は、ハローワークの創業塾など、とにかくさまざまな講座に足を運びました。そこで元経営者やNPO代表者などと知り合って、さらに彼らの集まりに呼んでもらって、”わらしべ長者的”にネットワークが広がっていって、協力してくれるメンバーが集まったんです」(同)  カフェがオープンすればしたで、イベントや委託販売もできるという”参加型”が話題を呼んで地元メディアが多数取材に訪れ、お客で賑わった。 「控えめな土地柄もあってか、少し変わったことをするとすぐに目立って話題になるんですよね」(同)  が、程なく客足は途絶える。家賃ゼロだからこの危機を乗り越えられたものの、自らの実力を知った夫妻はメニューを見直し、移動販売を始めたりと新たな試みを行う。 「決めたことを即、実践できるのが会社員との違い。僕自身はどうせよそ者なので(笑)、やりたいことをやろうと」(道彦さん) 「人からのアドバイスやオファーを実践していくうちに、気づけば地元の若手経営者のネットワークの中にいた。結局、Uターンするときに、一番億劫に感じていた人間関係に助けられている。それがなかったら、開店3か月で閉店でした」(千春さん)  商工会議所からの推薦で応募中のモデル店舗に選ばれれば、コンサルタントも派遣してもらえるようになるとのこと。「安定的に給料をもらえるようになる」という夫妻の目標達成もそう遠くはないかもしれない。 ◆成功の法則 よそ者であることを逆手にとってPRしよう
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土曜の午後だというのに、人けがまったくない商店街。 決して飲食店の経営に、恵まれた場所ではない
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(左)週末にはイベントに出かけ移動販売。 (中・右)フォークグループ「猫」などのライブを開催。たくさんのお客で盛り上がった
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