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“保守系女性活動家”が語る「自衛隊に男友達を30人送りこみました」

右翼

容姿端麗な山本さん。右翼ゆかりの地に一人で赴くこともあるとか

 昨今、ネットや街頭にて保守系活動を行ったり、右派系の論調に傾倒する女性が増えてきている。山本泰子さん(仮名・25歳)もその一人だ。  記者と名刺交換をすると、名刺入れに田母神俊雄氏の名刺が……。 「講演会が大好きで、通っているんです」  自身を「ステレオタイプな右翼ではなく、冷静な人間」と評する山本さんの政治的スタンスは反米保守。 「日本はアメリカの51番目の州のような状態から脱し、自主独立を目指すべき」と熱弁する。 「最近は中韓との領土問題が勃発しましたが、前後してオスプレイ問題が取りざたされていたりと、東アジアの紛争がアメリカの見えない侵略のカムフラージュとして仕組まれているのではないかと思うところがありますね。中韓に対する悪感情を煽ることで、結局誰が一番利益を上げているのかというのを考えるようにしています。その上で、精神的には天皇陛下や自衛隊の方を尊敬していますし、有事の際は何かお手伝いがしたいと思う。いざ戦争になったら、槍を持たざるを得ないと考えています」  ほかにも、GHQに始まり中川昭一氏暗殺疑惑やイラク派兵、思いやり予算などを挙げ、延々とアメリカ批判を展開する山本さん。最近の日本に対しても「安倍さんが自民党総裁になったのでどう出るかがすごく見ものですね。自衛隊を軍隊化して米軍基地を追っ払うのか、米軍と癒着してアメリカの私物のままなのか。後者だと思いますが。長期政権を担える政治家はすべてアメリカ寄りですから」と反米主義を織り交ぜる。 ――保守系活動に身を投じるようになったきっかけは何でしょうか? 「祖父は太平洋戦争でシベリア抑留の経験があるのですが、祖父の『シベリアで地獄を見た』という言葉がずっと気になっていました。そこで中学生の時に自分で本を買って戦争について徹底的に調べたんです。そのうち、20歳代で特攻隊に入った人々などと比べると、鬱でなんかいられないって思って……当時は自分自身が精神的に病んでいて、死にたいと思うことがあったのですが、そうした歴史を知るにつれ、先人の上に今の日本が成り立っている、日本に恩返しがしたいと考えて気を取り直すようになりました。保守運動に興味を持ち始めたのはそこからですね」 ――山本さんが行った最も身近な保守活動とは? 「最近まで私立校で国語の講師をしていたのですが、授業の傍らに日本の歴史を教えたりしていた。受け持っていたクラスは落ち着きがなくて崩壊状態だったのですが、いかにして今の日本が築かれたかを説いて、本を配り、感想文を書かせた。すると、不思議なことに学生たちが授業中に騒がなくなり、魂が入るんです。学生の感想文には『今の日本が幸せなのは昔の人が犠牲になられて築かれたものだと知って、勉強しようと思う』、『一日一日大切に生きていこう』とか書いてありましたね。犠牲といっても、それは被害にあったという意味の犠牲ではなく、みずから命を差し出した犠牲であって、そういうことを知らない子供が多いんですよ。小学生も中学生も。愚かな戦争だとか、残酷なことをしたと騙されていて、昔の人たちの気高い精神を知らない。日教組が聞いたら発狂しそうな話ですけどね」 ――大人に対してはどのような活動を行っていますか? 「知り合いに自衛官が多いので、彼らを啓蒙したりしてますね。今は国策で、思想を持たない自衛官が増えている。そこで私が大東亜戦争の歴史を教えると目からウロコが取れたみたいになる。あとフツーの男友達を30人、自衛隊に送りこみましたよ(笑)一方で、『俺は絶対に国を良くする』と言っていた自衛隊志望者が、どんどん落とされた。アメリカにとって都合がいいんでしょうね」 ――その後、本格的な右翼活動の経験は? 「集会に参加してみたり、勉強会の合宿などに参加してみたり。でもここ最近は保守系の講演会や防衛大学の学園祭など自衛隊関連のイベントに出るだけで、たまにしか活動はしていません」 ――活動から距離を置いた理由は何ですか? 「右翼活動では若い女性はすごく少ないから、惚れられてしまうんです。合宿に行った時なんかは熱烈に求愛されて……男性の9割には惚れられていたと思う。連中はみんなスケベだから、酒を飲むと普段は硬派で売ってるトップの男がベタベタ触ってきたりして、すると部下たちが『エっ!?』となる。その部下らも私のことを好きだから、ひそかに取り合いになり、友情に亀裂が入る。私としては、組織の秩序を乱したという自責の念から、右翼的な活動から距離をとるようになったんです。日本女性が海外旅行すると外人に異常にモテるようになるのと同じですね」 ――右翼活動をする女性にとって悩みは? 「デートが難しくなりますね。私は講演会に行きたいので誘うんですが、男性の多くは行きたがらない。旅行に行っても、私は戦地めぐりが好きで台湾や、日本兵が潜んでいたとされる防空壕などを見に行ったりするので、みんな辟易してしまうんです。また遊ぶ場所がそんなところだから、女の子の友達も右翼の同僚の人しかいない。政治の話は普通の女の子には一切できないから」 ――同じ右翼男性を誘えば良いのでは? 「ところが、右翼には私好みのイケメンはあまりいないんですよね(笑)」 ――ネット右翼に対してはどのような印象を持っていますか? 「ネットしている人でもたまに街宣するので、話しかけたりするのですが、自分のコンプレックスを消化しているだけで、本当に国のことを思っているのか疑問。そもそも言っていることがすごく偏っていますよね。物事の限られた側面しか見ないで、韓国はクソ、中国はダメとか。感情的すぎるし、自己満足の世界ですよ。大声を出すことで、自分を大きく見せているんです。結局、差別された人が差別をする側になるんですよ。若い頃に何かあったんじゃないですかね。私も、ネット上では色々ありましたし」 ――具体的に、どんなことがあったのですか? 「以前グリーをやっていた時は友達40人のうち30人くらいが活動家。だから政治的なことを書くと、80人の活動家が騒ぎ出すんです。例えば中国製品を褒めるだけで、お前は中国の味方なのかと50件くらいコメントが付いて炎上しちゃう。残る10人のカタギは何もコメントしてくれない。『アメリカのドラマは地上波で流すのに、韓国のドラマを流すと何故こんなに大騒ぎになるの?』と書いたら、アメリカは友達だけど韓国はダメだと感情的に反論される。意味が分からない」 ――同じ保守系活動に勤しむ女性に対しては、どう思いますか? 「あくまで私の印象ですが、講演会などでたまに会う女性は感情的な人が多いからあまり会話にならないんです。レッテル張りが多くて。ネトウヨみたいになってしまうコたちも、結局踊らされているんですよ。そういう風にマスコミが誘導している。自分の頭で考えているわけではない。流行に乗っておこう、みたいな。自分で直接、中国や韓国に行ってそう思うなら仕方ないですよ。でも彼女たちはそうしない。偏見なしに、人対人でぶつかってみればいいのに、と思います」 ――山本さんご自身は、人対人の活動を試みたことがありますか? 「はい。私自身も7年ほど前までは、本当に狭い視野しか持っていなかったんです。よく左翼が右翼の友人との会話で出てくるので、何を考えているのか興味があった。そこである日偶然、大学構内にオルグしていた左翼がいたので、話しかけたんです。すると気に入ってくれて、勉強会に誘ってくれました。最初は『左翼は全部論破してやる』と思って行ってみました。でも、いざ接してみると非常にインテリジェンスがあり、論理的にまとも。例えば、経済至上主義になることで賃金格差ができ、経団連などは富めていく一方で一般人はホームレスやワープアなどになり人間らしい活動ができない。あと、反原発について。一部の利権のためにそんな爆弾みたいなものがあるのはおかしい、など……とにかく、論理的に完璧で納得せざるをえなかった。私にとってはニューワールドでした。それからは自分の立ち位置を俯瞰するために、資本論を買って紙がボロボロになるまで読んで、左翼の彼らと討論した。その結果、至った結論としては、右翼も左翼も手を取り合って新しい道を模索していければいいということです。日本をよくしようという気持ちはどちらも一緒なのですから」 <取材・文/日刊SPA!取材班> ― “保守系女性活動家”が語る【2】 ―
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