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観てたら自慢できる「トンデモ映画」の世界

ドーベルマン刑事

『ドーベルマン刑事』DVD

 秋の夜長に映画でも――と思ったら、「時間を返せ~!」と叫びたくなるトンデモ作品に当たってしまうことがある。なかでも、名監督や豪華出演者なのにヤラかしてしまった作品には、映画の奥深さを感じずにはいられない。  そんな迷作の1本として、杉作J太郎さんが挙げるのは、『ドーベルマン刑事』(1977年)。武論尊のハードボイルド漫画を、あの『仁義なき戦い』の巨匠・深作欣二が映画化した。千葉真一が主演で、松方弘樹、川谷拓三といった深作組の名優が脇を固める。ところが――。 「原作の無視っぷりが秀逸。主人公(千葉真一)は沖縄から来た麦わら帽子の田舎刑事で、ドーベルマンではなく、なぜか黒豚を引き連れているんです」(杉作さん)。  45口径の銃と黒豚を抱きかかえて、“病んだ都会”を闊歩する千葉ちゃん……。美味いと人気のアグー豚なのだろうか。
アイ・カム・ウイズ・ザ・レイン

『アイ・カム・ウイズ・ザ・レイン』DVD

 また、映画批評サイト「破壊屋」の管理人さんが選んだのは、『アイ・カム・ウイズ・ザ・レイン』(2009年)。監督のトライ・アン・ユンはフランス在住のベトナム人で、『青いパパイヤの香り』などのオシャレ映画や、『ノルウェイの森』などで知られる。『アイ・カム・ウイズ・ザ・レイン』は、木村拓哉とイ・ビョンホンを起用したサスペンスものなのだが――。 「現代を舞台にキリストの受難を映像化しようとして失敗した作品。最も難解なのは、キリストを演じるのが木村拓哉だという点だ。なぜキムタクがキリストに?」(破壊屋)。  バチカンからクレームが来そうである。  週刊SPA!10/23発売号「悶絶!【トンデモ映画】ベスト42」では、上記のお2人のほか、みうらじゅんさん、江戸木純さんら8人の目利きが42本を挙げてくれた。  最後に、SPA!本誌には出てない映画を筆者から1本。瀬戸内寂聴の自伝的小説『夏の終り』を、満島ひかりや小林薫が演じる同名映画(2013年公開)が話題になっているが、監督は熊切和嘉。いまやメジャーとなった熊切監督のデビュー作『鬼畜大宴会』(1987年)は悪夢のようだった。
鬼畜大宴会

『鬼畜大宴会』VHS

 連合赤軍事件をモチーフに、グロいリンチ殺人が延々と描かれるスプラッター映画だ。男根を斬り落として噛み切ったり、切断された首の血管からピュピュピュっと血が溢れたり……もう吐きそう。最後、ブスの女リーダーがなぜか白塗り化粧と着物で、日の丸の前で踊り出し、女性器に猟銃をブチ込まれて殺される。海外の映画祭で高く評価されたのだが、たぶんDVD化されていないと思う。寂聴先生に感想を聞いてみたいものだ。 <文/週刊SPA!編集部>
週刊SPA!10/30号(10/23発売)

表紙の人/Milky Bunny

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