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「敵の敵は味方」清武英利×玉木正之が日本プロ野球に物申す!

清武英利,玉木正之玉木:「敵の敵は味方じゃないか」一度お会いしたかったんです(笑)。 清武:ハハハ、上手いこと言いますね。  ドラフト会議を一週間後に控えた10月17日、都内某所で元読売巨人軍球団代表の清武英利氏とスポーツ評論家の玉木正之氏の緊急対談が行われた。このふたり、会うやいなや前述の会話で打ち解けたのだが、実は世間を賑わせた遺恨があった――。  それは昨年11月29日のテレビ朝日系「ワイドスクランブル」に生出演する予定だった清武氏が、「玉木正之氏が出演すると聞いて、番組をドタキャンした」と12月1日付の『東京スポーツ』が大きく扱ったことに由来する。東スポは「玉木氏との共演に難色。”敵前逃亡”で株を下げた」と言及し、このふたりには”遺恨”ができたように思われた。
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清武氏と玉木氏の”遺恨”のきっかけになった、'11年12月1日付『東京スポーツ』。「清武の乱」は激しい情報戦の様相を呈していた。

 清武氏曰く、担当ディレクターが事前に出演内容を打ち合わせしようとせず、しかも問題のある対応をしたので出演を見合わせたそう。しかもテレ朝側は読売巨人軍に番組内で使用する映像の許認可を取らねばならなかったため、番組のプロットを提出していたという。それゆえ、清武氏が事前に出演することを知っていた巨人側が、東スポにリークし、”敵前逃亡”の事態に発展したのだという。  一方の玉木氏も担当ディレクターから「清武さんが玉木さんのこと嫌っているから出ません」と聞かされたその夕方、東スポの記事が出て驚いたという。  実際、週刊SPA!からの対談のオファーにも玉木氏、清武氏両者が「(向こうは)僕のこと嫌っているんじゃないですか」と応じるほどだった。  しかし、「反ナベツネ」で意見を同じくするふたりは意気投合。対談は2時間半に及ぶ「熱戦」だった。  ふたりは、間近に迫ったドラフトにも言及。今ドラフトでも注目を浴びる「原監督の恋人」を巡る問題を語ってもらった。 ◆一浪した菅野投手を1位指名すべきか? 玉木:ドラフトに話を移しますが、そもそも抽選方式ではドラフトといえない。戦力均衡を目的に、完全ウェーバー制にしなければ。 清武:僕らの悔いは、’04年のドラフトで逆指名制度に固執するあまり、高校生のダルビッシュを逃したことです。それから「失敗しても悔いのないドラフト」を教訓としています。でも、そのために導入したベースボールオペレーションの数値は論議する材料にしかならない。菅野智之投手(東海大)が1年浪人して、それでも1位指名に値するかが問われていますが、数値化して菅野以上に大成しそうな選手がいるならば、勇気を持ってその選手を指名すべきでしょう。 玉木:でも1年間実戦ゼロの菅野君の数値化は難しいですよね。 清武:難しいです。佑ちゃん(斎藤佑樹)は、1年かけて数値化して「指名しない」という結論に至ったのに、原監督から言われたのか、渡邉さんは菅野はいい投手だと思い込んでいる。「なんとかして取りたい。監督をクビにすると菅野が取れなくなっちゃう」と僕に言うんですよ。選手を見たこともない人が「あれがいい」なんて言ってる。’04年の裏金問題の後も「阪神が一場選手を持っていくのは許さん!」と吠えてましたから。 玉木:昔、青田昇さんと一緒にテレビに出た時、長嶋監督が解任された後だったんですが、解任の理由を青田さんは、「長嶋が『巨人を独立させる』と言い出したから」と生放送で言ったんです。「巨人は独立してもやっていける。でも、読売は面白くないだろう」と。発言の裏を取ろうと長嶋さんに会うたびにそれを確認したけど「そんなこと言ったかな~」って(笑)。でも「読売巨人軍」が「東京ジャイアンツ」になったら今の間違った常識が崩れると思いますよ。メディアのスポーツ支配の不合理も、企業と日本人の“社畜”という関係も変わってくるはずです。 清武:巨人は読売グループの経営資源としては最高のものです。巨人の生え抜きの社員たちは、自分たちは読売グループの一員だけども、独立した会社だと思っている。だから「ナベツネ何するものぞ」という気概もないとダメなんです。独立した株式会社である以上は、スカウトの総意を鶴の一声でひっくり返してはいけないんです。  10/23発売の週刊SPA!では「日本プロ野球への緊急警告」と題し、渡邊恒雄会長による「球団の私物化」に異を唱え、巨大組織の暗部を告発した清武英利氏と「我々の敵はナベツネだ!」’04年の球界再編時以来、一貫して主張を続けるスポーツ評論家の玉木正之氏の初対談を掲載。WBCやドラフト、そしてナベツネ問題まで、野球愛溢れる意見をぶつけあった 取材・文/小島克典(元ライブドア・フェニックスGM) 構成/遠藤修哉(本誌) 撮影/渡辺秀之
週刊SPA!10/30号(10/23発売)

表紙の人/Milky Bunny

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