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すわ、気象兵器!? 台風6号マーゴンが異常な進路だったワケ

 超強力な台風として接近前からかなりの危機感を持たれていた台風6号「マーゴン」。  7月11日の発生から徐々に勢いが加速し、17日の段階で935ヘクトパスカル、最大風速47mを記録。「猛烈な勢い」へと昇格し、九州を虎視眈々と狙うように。さらに18日の時点からマーゴンは急速に方向転換。四国沿岸を舐めるように北上し家屋を倒壊せしめ、海岸沿いの崖を侵食し、甚大な被害を与えた。そしてそのまま行くと関東直撃、東北地方を狙うように……。 「史上最大規模の台風、壊滅状態になる」との見方もあり、列島に緊張が走ったが……。  ところがここから、なんと再び見事なまでのUターンを描き、日本の東海上へと離れて行った。
マーゴンの進路

6号マーゴンの進路 via: Weather Underground.com( http://www.wunderground.com/ )

 いったいなんだったんだ???  この異常な軌道に、俄に浮上したのが次のような声。 「HAARPで発生させ、操作したな」 「関東狙い撃ちだな…気象兵器かと思ってしまうくらい」 「おそらくHAARPで人工操作されただろうと思う」 確かに、不自然なまでの急カーブが2回。 気象兵器マーゴンによって列島を狙う悪の組織と、日本本土を守護しようとする祈祷軍団の超能力決戦か!? と、中2的ファンタジーが生まれてきそうな軌道である。 果たして、なぜこんな軌道になったのか? 「一見、奇妙な動きに思えるけど、昔から“夏の台風は迷走台風”というのは定説になっているんだよね」というのは気象予報士の資格を持つサーファーのA氏。 「夏場は太平洋高気圧が日本全土を覆うから、それに邪魔されることや、台風を動かす上空の偏西風の力が弱くて速度も遅くなってダラダラと居座り続けることが多いんだよ。今回も高気圧が東に動いたのに釣られて急に本土沿岸縦断コースじゃなくなったでしょ。逆側に抜けようにも、そっちのオホーツク海方面には低気圧が居座っていたから北上もできずに変なコースになったというわけ。’09年8月に発生した台風9号アータウは、最低気圧はマーゴンほどではなかったけど、日本のすぐ南で発生して同じようなコースだったんじゃないかな」 どうやら台風の進路だけを見ると不可解な動きに思えても、天気図全体を見て他の高気圧・低気圧との位置関係から判断すると、さほど異常な動きでもないらしい。 そうはいっても、悪の組織と日本の祈祷集団の超能力対戦……ってストーリーも胸熱で捨てがたいんだけどね!
◆オススメ書籍
『台風学入門―最新データによる傾向と対策』

気象と台風の仕組みがわかる一冊

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