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K-POPバブル崩壊でどうなる? 2013年注目の二組

PSY以上のハイパーテンションで日本に再びお目見えした李博士

 紅白への出演者ゼロでバブル崩壊が決定的となったK-POP。現職大統領の竹島訪問に端を発した領土問題がブーム失速の理由とされるが、いわば竹島問題は年中行事。似たり寄ったりのアイドルが演じるダンスポップが飽きられたにすぎず、竹島はダメ押しでしかなかった。  そんな国内状況に対し、世界では小太りの韓国人ラッパー、PSYがコミカル&キャッチーな「江南スタイル」で大ブレイク。見た目から想像のつかぬ器用なダンスがアメリカのセレブを虜にし、人気はワールドワイドに飛び火した。ポイントはアメリカ直送のダンスビートに乗せたしなやか、かつ、徹底したB級テイスト。K-POP=アイドル・ポップという認識を根底からひっくり返し、韓国歌謡の奥の深さを印象づけたのだった。  以上を踏まえ、来年のシーンで注目すべき二組をご紹介しよう。  まずは存在感のヤバさではPSYの上を行く歌い手、李博士(イ・パクサ)。2拍子のリズムに合わせて歌い繋ぐ「ポンチャック」と呼ばれるジャンルのゴッド兄で、90年代中盤には日本でもデビュー。「HEY!HEY!HEY!」出演時にはMCの松本人志をして「インチキ臭いマジシャンみたい」と言わしめたほどのブッ飛びパフォーマンスを披露している。韓国でもテクノ・ユニットと共演したり、シェリル・リンの「Got to be real」をファンキーに変換して歌うなど、その活躍は縦横無尽。昨年も新譜を出しているが、近年、彼の動向が日本に伝わることは少なかった。そんななか、遂に博士が新作『イ・パクサ~リアル・ポンチャッカー』をデジタル配信でリリースし、復活を遂げた。 「ポンチャックは長距離トラックの運転手やタクシー・ドライバーが眠気覚ましのために、愛聴してきた音楽。ところが、最近のタクシー運転手のお気に入りは少女時代の『Mr. Taxi』なんだとか。そのため、博士はライバル心を燃やして前線に復帰したという都市伝説が実しやかに噂されています」(K-POPライター)  リード曲「ア・ス・ラ・バル・バル・タ」はヘグム(胡弓に似た韓国の伝統楽器)の音色をフィーチャーし、オリエンタルなスパイスを効かせたアゲアゲ・ソング。変わることのないテンションの高さが光り、音楽ファンから「これぞ、正調K-POP」と喝采を浴びている。
MOOD SALON

2013年の要注目バンド、MOOD SALONはEGO-WRAPPIN'ファンにもオススメ!

 そしてもう一つは11月に初のフル・アルバム『Open Salon’s Door』を発表したばかりのバンド、MOOD SALON。ギター兼バンマスのCarolを中心に、女性ボーカルのエイミーがフロントに立つ7人組の彼らは、ジャズをベースに、スウィング、トロット(日本の演歌)、スカ、レゲエを融合させる。その音楽は(日本の)昭和期のソウルのどこかの酒場で演奏されていたかもしれない音楽をモダンに解釈したかのよう。ムーディーなタイムスリップ感が心地よく、スリリングなジャズでも聴く者を楽しませる。先のライター氏も彼らのアルバムを今年度BEST3の一つと太鼓判。K-POPなんて薄っぺらな言葉で括りきれない韓国歌謡の豊かな広がりを堪能できるはずだ。  アイドルが吹っ飛んだ2013年こそ、今回ご紹介した二組を糸口に、韓国音楽にどっぷりつかってみてはいかがだろうか? <取材・文/キム・タク>
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