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「営業成績が悪いのも私の個性」?前向きキャラのハタ迷惑

巷に溢れるポジティブシンキングのススメ。確かに、前向きであることは悪いことではない。が、過ぎたるは及ばざるが如しという言葉もあるわけで。“ポジティブ”の副作用、あれこれを紹介する! ◆「成長」を語るが現実を直視しないポジティブに周囲は辟易!? イラスト/坂川りえ「『なんとかなるさ』が口癖の無職の友人。いつまでたってもなんともなっていないのだが」(37歳・男)、「いつも営業成績が芳しくない部下は、『大事なのはナンバーワンになることではなく、自分の個性だ』と言っている」(35歳・女)――。  取材で聞き取った、過剰にポジティブな人への違和感として多かったのは、こうした楽観主義に対するもの。確かに、ポジティブには楽観的という意味もある……。  自分を省みないのは、ある意味、本人にとっては幸せ。己の不甲斐なさを「気にしない」人もいれば、「ミス続きの後輩を慰めようとしたら、『この会社では私の力が生かせない』という言葉が返ってきた」(37歳・女)というように、一切「認めない」人も。  また、「ミスをした後輩から謝罪メールが来たので『同じ失敗を繰り返さないで』と注意したら、『失敗は成功の母ですよね!』『これもいい経験』と、失敗などなかったかのような“前向きな私”キャラにすり替わっていた」(31歳・女)、「己のミスを『失敗を恐れていたら前に進めないからね~』と笑い流しては同じミスを繰り返すパートのおばさん。お気楽すぎる態度にイライラする」(32歳・女)なんて話も。おっしゃる通り、ひとつの失敗に囚われていたら先には進めない。が、原因を突き詰めない限り成長もしないのでは。  そして、楽観主義も行きすぎると周囲をも巻き込む。 「『時間もなくてヤバいけど、追い詰められると逆にハイになりますよね!』と言う年下上司。私としては追い詰められる状況はつくらないでほしいのですが」(27歳・女) 「納期ギリギリなのに、『大丈夫、なんとかなりますよ』と本当のギリギリまで動かない同僚。確かに追い込まれたときの彼の仕事の処理能力は凄まじく、実際、最終的になんとかしてしまうのだが、一緒に仕事をする側としては気が気じゃない」(35歳・女)  その一方で、「理不尽な仕事を劣悪な処遇で課せられてもへらへら笑い『これも仕事だから』と残業し、仕事に勤しむだけ。改善や移籍の要望が出るべきなのに現状に甘んじているのは、一見前向きだが無謀」(36歳・男)といった、現状を肯定し、しがみつくという、切ないポジティブ(?)話も。  職場だけではない。 「妹は、いい年して年金も払ってなければ貯金もない。それなのに自分だけはなんとかなると思っている。そんな彼女の尻拭いはいつも私。いいかげん現実を見てほしい」(35歳・女)。が、そんな妹に周囲の救いがなくなると、「『なんとかなる』が口癖で浪費し続けていた知り合いの50歳独身女性が、ついに貯蓄が尽きジリ貧に。あんなに明るかったのに今は『死にたい』が口癖で、見るに堪えない」(35歳・女)ともなりうる。そして、それを他人事と思ってしまうのもまたポジティブさだったりして。  言い換えれば、「何も考えていない人ってポジティブに見える」(27歳・女)。ポジティブ思考は、さじ加減が重要なようである。 イラスト/坂川りえ ― 「ポジティブ」という病【2】 ―
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