男の身長が1cm違うと年収にどう影響する?

「独活(うど)の大木」「大男、総身に知恵が回りかね」というが、長身を良しとする価値観が根強いのは事実。とはいえ、周囲を見渡せば、目端が利いて結果を残しているヤツに、小柄な男は多い。いささかのムチャは承知ながら、「山椒は小粒でもぴりりと辛いのか?」を考えてみた!

◆統計調査&成功の条件から考察してみる!【前編】

 男の身長コンプレックスは根深い。16世紀ルネサンス期のフランスを代表する哲学者のモンテーニュは、「もしも私がこの人生を繰り返さねばならないとしたら、私の過ごしてきた人生を再び繰り返したい。過去を悔やまず、未来を恐れもしないから」なんてカッコいい言葉を残している。が、その一方、「私は身長が平均よりやや低い。この欠点は単に醜いばかりでなく、ほかの不愉快の種で、負担となる」なんてことも口にしていたらしい。偉大な哲学者サマですらこうなのである。

 前回紹介した(http://nikkan-spa.jp/387205)の泉忠司氏のように、「長身がいい」という巷の一般的価値観をもとより気にしないというのは、そうそうできるもんじゃない。

◆身長と収入には、切り離せない関係が!?

 では、身長に関する各種の統計調査をチェックしてみよう。欧米では身長に関する調査や研究が盛んだ。その結果はというと……期待に反し、こちらの新説を否定するものばかり。あれ?

●アメリカ・ペンシルベニア大学のニコラ・パーシコ教授らは、その人の所得と11歳、16歳、成年時の身長との関係を調査。それによると、所得に影響を及ぼすのは16歳のときの身長で、イギリスの白人男性(平均身長176.6cm)の場合、身長が2.5cm高くなると、その所得は2.2%増え、アメリカ(平均身長175.7cm)の場合では、1.8%増だったという。(2004年)

●オーストリア国立大学の経済学者アンドリュー・リー教授とシドニー大学のマイケル・コート博士が、オーストラリア男性(平均身長178.1cm)を対象にした調査研究では、身長が5cm高い男性は収入も1.5%多くなる。年収換算で9万円増加。(2000年)

●大阪大学教授で経済学者の大竹文雄教授らが行ったアンケートを、同大学大学院の福澤洋樹氏が検証したところ、「学歴、勤続年数、企業規模、親の学歴、育った家庭の生活水準などをコントロールしたとしても、1cm身長が高くなると時間当たり賃金は約1.5%高くなる」とか。(2005年)

 これらの調査はあくまでも“平均”の話で個人にあてはまる話ではない。が、背丈が高いことは収入にプラスに働くらしい……。

 さらに、アメリカで、ほぼ同じ能力で身長が異なる2人の男性が140人の人事採用担当者の前で架空のポストを競うという実験を行ったところ、72%の採用担当者が185cmの男性を選び、170cmの候補者を選んだのはたった1人だったとかで、身長は“機会”の損失も招いている!?

 このほか、アメリカ空軍の入隊試験の合格者のうち、180cm以上の者は入隊後25年たつと、180cm未満の者より年間23万円収入が多くなるとか、アメリカ大統領選では勝利者の8割が背の高い候補者とか。探せば探すほど、「背が低い男は成功する」という仮説を立証するどころか、身長が高いとお得♪という「身長プレミアム」の存在を裏付けるものばかり!? あれれれ?

 しかし、だ。銀座のクラブで数々の成功者を見てきたエッセイストの蝶々さんは、「IT企業などを自分で立ち上げて急成長させた人には、小柄な方が多かったですね」と振り返りつつ、成功者の条件についてこう語る。

蝶々さん

蝶々さん「背の低い男性は、渇望感を抱きつつ、人の気持ちがわかる」

「私が考える成功する男の条件というのは、体力があること。頭がいいこと。人の心理を知っていること。現場を知っていること。そして、渇望感を持っていることだと思うんです。女性が考える以上に身長って男性にとって“聖域”なんですよ。だから、背の低い男性というのは、傍から思う以上に渇望感を抱きつつ、人の気持ちがわかる。成功者の条件を持っているんです」

 実際、かつて蝶々さんが働いていた店の社長は背の低い「桂小金治みたいな人だった(笑)」そうだが、中卒で地方から上京、一代でそのクラブを築いたというひとかどの人物。

「その社長は、自分が欲しいと思ったものに対しては、とにかくひたむきでしたね。欲しいと思ったものを得るために、必要ならば相手の靴でも舐めるくらいの勢いがありました」

 つまり、各種データが示すとおり、「身長プレミアム」は根強く存在する。が、だからこそ人一倍、背の低い男は努力する。そして、成長し成功する人物が出現する、と考えるのは強引だろうか。

「背の低い男性が大好き」で、165cm以上の人と付き合ったことがないというある女性(31歳)は、「歴代の彼氏は、皆、起業家か経営者でした。企業に入って、『ま、楽しく働ければいい』みたいな人ではなく、『稼ごう』『抜きんでよう』という意識の強い人たちでしたね。まあ、私がそういう人しか目に入らないのかもしれませんけど(笑)」

⇒【後編】に続く http://nikkan-spa.jp/387207

【蝶々さん】
作家・エッセイスト。銀座のクラブでのホステス経験を綴った『銀座小悪魔日記』で出版デビュー。以降、執筆のほか、テレビやラジオ出演、商品開発などでも活躍中。近著に小説『瑠璃色』、『小悪魔卒業宣言!』などがある

参考文献:『身長の神話』(工作舎)、『身長と体重が賃金に及ぼす影響』(田中賢久/『JOINT RESEARCH CENTER FOR PANEL STUDIES』 Keio University)、『なぜ女性は背の高い男性を好むのか?』(大竹文雄『産政経フォーラム』No.67)、『悪魔の対話術』(内藤誼人/ダイヤモンド社)
※調査結果の賃金については現在レートで計算
― 新説「背の低い男は成功する!」は本当なのか?【2】 ―

瑠璃色

ドラマティックな超・恋愛小説

肉体改造やジェンダーレスな美しさよりも30~40代には大事な血管年齢の話

肉体改造やジェンダーレスな美しさよりも30~40代には大事な血管年齢の話
sponsored
 例えば、テレビ番組などで昭和の映像を見たりすると、最近の人は(特に若者は)、ずいぶん洗練されたなあと思ったりしないだろうか? 「人は見た目が9割」と…

連載

ばくち打ち/森巣博
番外編その3:「負け逃げ」の研究(12)
メンズファッションバイヤーMB
「クールビズ」がダサく見えるのはなぜ?
山田ゴメス
妊婦でAV出演を決めた、貧困シングルマザーの事情
オヤ充のススメ/木村和久
人生は決して諦めないこと…映画『トランボ』に学ぶ
フミ斎藤のプロレス講座/斎藤文彦
ホーガンがWWEと“絶縁”した日——フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第140回
英語力ゼロの46歳バツイチおじさんが挑む「世界一周 花嫁探しの旅
「俺と二人で旅がしたいの?」——46歳のバツイチおじさんは男前すぎるセリフを真顔で言い放った
原田まりる
ファミレスで隣の席の会話に聞き耳を立てていたら、大喜利を観覧したような気分になった話
18歳女支配人・このみんの経営学「私のミカタ」/園田好
「なんで飲食業でモデルみたいな恰好してるんだ?」ロスの税関で4時間尋問を受けて感じたこと
大川弘一の「俺から目線」
俺の問題にはなるな——連続投資小説「おかねのかみさま」
プロギャンブラー・のぶき「人生の賭け方」
「ポケモンGO」を配信前の日本でプレイしてみたよ 秋葉原でポケモンゲットだぜ!
フモフモ編集長の今から始める2020年東京五輪“観戦穴場競技”探訪
吉川晃司もやっていた“東京五輪最強の穴場”競技とは?
おじさんメモリアル/鈴木涼美
「顔じゃなくて知性で女を選ぶ」男の無知性
僕が旅に出る理由 in India/小橋賢児
北インド秘境で「宇宙に住んでいる」と実感した——小橋賢児・僕が旅に出る理由【最終回】

投稿受付中

バカはサイレンで泣く 投稿受付中
佐藤優の人生相談 投稿受付中