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伊勢うどん活動家、石原壮一郎氏が語るうどん愛

今や全国的におなじみとなった讃岐うどん。しかし、それ以外にも全国各地にさまざまなうどんがある。そばよりも地域性が強く、それぞれの土地の人がそれぞれに愛着を持っているうどん。そんなご当地うどんの魅力をコラムニストの石原壮一郎氏が熱く語る! ◆口に含んだ瞬間にやわらかいやさしさを感じる伊勢うどん ※伊勢うどん:三重県伊勢市の名物料理。極太のやわらかい麺に、たまり醤油に魚介等のダシを加えた黒いタレをかけて食べる
石原壮一郎氏

石原壮一郎氏

 伊勢うどんは子供の頃からよく食べてました。出身は(伊勢市の隣の)松阪市なんですが、旅行というとだいたい伊勢志摩なんですよ。中学高校ぐらいになると友達同士で伊勢神宮に行ったり、映画を観に行ったりという感じで、伊勢には何回行ったかわからない。で、行くととりあえず伊勢うどんを食べるという。  讃岐うどんブームのおかげで「うどんはコシが命!」みたいなことになってたじゃないですか。おみやげに買ってきた伊勢うどんを食べてもらっても「ゆですぎだよ、石原さん」とか言われたりして……。でも、伊勢うどんもただいたずらにコシがないわけじゃなくて、タレのおいしさを引き立てるためなんです。ふわふわもちもちの麺はタレにからみやすいし、表面がツルツルじゃないのも同じ理由。口に含んだ瞬間にやわらかいやさしさを感じるのが、ほかのうどんにない魅力ですね。  その魅力を伝えたくて、ツイッターで「伊勢うどん通信」を始め、さらにフェイスブックで「伊勢うどん友の会」のページを作りました。西荻の古本イベントと連動してやった「伊勢うどんカフェ」には250人ぐらいのお客さんが来てくれて、伊勢うどん1杯食べるのに1時間待ちという事態に。本来はファストフードとしての食べ物なんですけど。  伊勢うどんを食べると、うどんにも人生にも正解はないということがわかります。固定観念に縛られず、伊勢うどんのようにやわらかく受け止める懐の深さを持ちたいですね。 【石原壮一郎氏】 ’63年、三重県生まれ。コラムニスト。3/17に行われた「第1回 お宝 三重県グルメ試食会!」(@新宿ネイキッドロフト)にもゲスト出演した。『dancyu』4月号のうどん特集にも執筆 ― 激論!全国[ご当地うどん]バトル【6】 ―
dancyu (ダンチュウ) 2013年 04月号

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