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装飾系男子は母親を同一視の対象にしている

20~40代を中心に、美容に関心を持つ男性=“綺麗男(キレオ)”が増えているという。身だしなみの一環という枠を超え、美白や永久脱毛、血液クレンジングや腸内洗浄にまで手を出す男性も。メンズ美容の最前線を追った! ◆美しく身を飾る装飾系男子は恋愛でも“女に選ばれる側”!?  美容やファッションに気を使う青年男子を、自著の中で「装飾系男子」と名付け、分析を行った臨床心理士の久遠さら氏によると、「男性の美容への関心の高まりは時代の空気や社会の変化を写す鏡でもある」という。 「文化人類学や比較文化論の分野では、『安定した治世が続くと男性の女性化が進む』という観点は、繰り返し論じられていて、細眉の流行などは江戸時代の日本でも見られた現象です。近年は日本や欧米の先進諸国で装飾系男子が増加していますが、その傾向が圧倒的に強いのはやはり日本です。欧米では自律的教育が重視されるため、子供が大した小遣いを与えられず、オシャレに目を向ける余裕がない部分が今もありますから」 メンズ美容, 恋愛, 男の生態 そして、日本におけるメンズ美容の関心の高まりには、母親の存在が大きく関係しているという。 「もともと日本は女性性の強い『母性社会』と言われてきましたが、戦後は母親が子育てを一手に担う家庭が増加。近年は大学生ほどの息子を恋人のように扱ったり、一緒に遊びに行ったりする母親も増えました。同時に“父親を立てる”文化も薄れ始め、父親像を白い犬として描くCMまで支持される世の中になった。そのような変化もあり、自我を形成する際に、父ではなく母を同一視の対象とする男のコが増えているのでしょう。美容に気を使う母を見て育った男のコが、美容に取り組むようになるのは自然な流れだと思います」  そんな男子たちは、恋愛においても女性化の傾向が見られるそう。 「大学でカウンセリングをしていても、『女のコからデートに誘われたい』『彼女ができたらその人とずっと付き合っていきたい』という男のコが増えているんです。逆に女性の肉食化は進んでいる印象なので、恋愛における男と女の役割が拮抗してきているとも言える。男性の美容に関心を持ち、美しく身を飾るのは、“女性に選ばれる”ための努力の一環なのかもしれませんね。女性にフラレて相談に来るような男子学生ばかり見ていると、日本の行く末が心配になってしまいますが(笑)」 【久遠 さら氏】 臨床心理士。大学の学生相談室に勤務する傍ら、心理療法室も開室している。著書に『なぜ今どきの男子は眉を整えるのか』(幻冬舎ルネッサンス新書) 取材・文/福田フクスケ 古澤誠一郎 黒田知道 山脇麻生 田幸和歌子 安田はつね(本誌) 撮影/菊竹 規 ― ここまできた![メンズ美容]最前線【9】 ―
なぜ今どきの男子は眉を整えるのか

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