“バカ”なことをしてメシを食っていく秘訣【後編】

 日本を代表する“先進バカ企業”の面々が一堂に会するイベント「青春!バカサミット」が5月11日、12日に初の2Daysで開催された。前回の記事に引き続き、そのイベントで披露された登壇者たちの言葉や、彼らの仕事ぶりを通じて、“バカ”な手段で成功する秘訣をお伝えしよう。 ⇒イベント1日目の様子はこちら ◆「社会現象とリンクした活動は注目を受けやすい」 (離婚式プランナー 寺井広樹氏) 青春!バカサミット,離婚式プランナー,寺井広樹 離婚式にタメシガキ蒐集といった前人未到の分野を切り開き、最近は、涙を流すことで心のデトックスを図る「涙活」でも話題の寺井氏。各種メディアに引っ張りだこの状態の秘訣について、「『泣きたくても泣けない人が増えている』『離婚件数が増えている』など社会現象とリンクしたトピックで活動をすると取材を受けやすく、世間の注目を集めやすい」と話していた。 ◆「『ことばでも数字でも表せない理想』を描く」 (日本ふんどし協会代表 中川ケイジ氏) 青春!バカサミット,日本ふんどし協会 日本ふんどし協会の会長として「有名人にTwitterで話しかける」などの業務に邁進し、実際にAKB48の秋元才加との接触に成功した中川氏。活動内容にツッコミどころを多く用意することで、「広告費はゼロ」でも多くの取材を獲得できるのだそう。その一方で、自身も励まされたという東京事変『21世紀宇宙の子』の歌詞を引用し、「ことばでも数字でも表せない理想」を描くことが何より大事だとも強調していた。なお今後は日本ナタデココ協会なども設立し、ナタデココ専門家「ココ中川」としても活動していくと宣言していた。 ◆「シャイなお客さんには自ら拍手を要求する」 (シンガーソングライター 鼻毛の森) 青春!バカサミット,鼻毛の森 カップル撲滅をスローガンに「リアルラヴソング」を歌い、最近はテレビ番組にも多く取り上げられている鼻毛の森。この日は、「いつまでもこの愛は続く」といった世間の“強がりに近いようなラブソング”に対抗し、残念な現実を歌った「それまではそばにいるよ」などを熱唱。「シャイな人が多い北陸の出身だから」と言い訳をしながら、自ら「拍手!」と会場に盛り上がりを要求する作戦も功を奏し、笑いの渦を巻き起こしていた。 ◆「やってから考える」「当たって砕けろ 取らぬがリスク」 (ラーメン凪代表 生田智志氏) 青春!バカサミット,ラーメン凪「TRYラーメン大賞2012-2013」総合1位に輝く人気店のラーメン凪。代表の生田氏は、1杯に50g以上の煮干しを使った煮干しラーメンを昼に食べると、夜までゲップが煮干し臭くなる……というデメリットを逆手に取った「ゲップマーケティング」、「365日日替わりラーメン」といった同店の様々なバカな試みを披露。何も分からないまま創業、海外進出までした過去に触れながら、「やってから考える」「当たって砕けろ 取らぬがリスク」「やってやってやりまくる。量は質を越える」という哲学を語った。 ◆「名前や輪郭でお客さんの『何か』に引っかかりを与える」 (ザリガニワークス 武笠太郎氏・坂本嘉種氏) 青春!バカサミット,ザリガニワークス プレゼントされた子供が「これじゃない!」と泣き出す、ニセモノ感あふれるロボット「コレジャナイロボ」でおなじみのザリガニワークス。そのほか「土下座ストラップ」「透視メガネ」などバカなプロダクトも量産しているが、「店頭に置かれた商品に特に興味もない人に瞬時にアプローチするには、『ロボ』といった昭和感のあるワードなど、その人の中にある『何か』に引っかかる名前や輪郭を作ることが大切」と、その商品づくりの裏に隠された哲学について語った。 ◆「キラキラしているだけでなく、地に足が付いた未来を描く」 (AR三兄弟・長男 川田十夢氏) 青春!バカサミット,AR三兄弟 人が知覚する現実をコンピュータで拡張する「AR」(Augmented Reality)という最新技術を、AR三兄弟の長男として広めている川田十夢氏。この日もその技術を使い、「画面上で目からビームを出す」「『朝』と『娘』の文字を画面上で認識するとモーニング娘。の音楽が流れる」といったパフォーマンスで会場を大いに沸かせたが、その活動に共通するキーワードの一つに「昭和」があることを説明。「キレイなだけの未来はダサいし、地に足つけて履きこなせる未来を描きたい」と、最新技術とレトロな親しみを融合させた自身の活動の背景について語った。 ◆「みんなが『いいね!』と言うものでは世の中は何も変わらない」 (LIFE VIDEO代表 土屋敏男氏) ◆「大義のあるバカは遠くまで行ける」 (面白法人カヤック代表 柳澤大輔氏) 青春!バカサミット,面白法人カヤック,土屋敏男 最後は“企業でバカをする”時代の先駆者・柳澤氏と、『進め!電波少年』のTプロデューサーでおなじみの土屋氏の対談。土屋氏は『進め!電波少年』について、「自分が本当に面白いと思い、仕事に誇りを持てるような番組を一度作って、それでダメならクビになってもいいと思っていた」とその制作秘話を披露。さらに「みんなが『いいね!』と言うものでは世の中は変わらないし、ある種の無謀さでジャンプをするバカが世の中を変える」と自身の“バカ観”を語った。柳澤氏は土屋氏の言葉を受け、「ただのバカではなく、『自分の信じたことをやり切ろう』『これをやると世の中が良くなる』という大義があるバカは遠くまで行ける」と大義の重要性について語っていた。  なお、「2Daysと言いたくて2日開催にしたら集客に失敗した」というイベント主催者のジョーカー福留氏(変態企業カメレオン代表、アイスマン福留としてコンビニアイス評論家の顔も)は、「自分のパートが短かった」(中川氏)、「回を追うごとにイベントの迷走感が増している」(柳澤氏)、「イベントの運営を柳澤さんに任せるべき」(川田氏)と出演者から非難を浴びながらも、「ちょっとだけ反省して、またやります」と次回開催を宣言。こんな人たちのバカさに何かを感じた人は、次回は会場に足を運んでみては? 青春!バカサミット<取材・文・撮影/古澤誠一郎>
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