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統計は“凡人サラリーマンの武器”になる

統計学 世は統計学ブームだ。書店に行けば、25万部のベストセラーとなった『統計学が最強の学問である』(西内啓/ダイヤモンド社)を筆頭に、「統計」「数字」を扱った本はビジネスコーナーの一角を占め、関連のセミナーはどこも満員御礼だとか。  それもやっぱり、最近、注目が集まる「ビッグデータ」のせい? IT化の進む中で大量に生成・処理されるデータがビジネスを変える!とかで、なんだか喧しいですよね? 「ビッグデータといっても、要はこれまでもあった統計解析。言葉の新しさやスケール感から、何か新しい突破口として期待されているにすぎない」と語るのは、ビジネス数学コンサルタントの深沢真太郎氏。  明治大学准教授で経済統計を専門にする飯田泰之氏も、「バイアスのないランダムサンプリングという点ではビッグデータは確かにすごい。でも、サンプル数が多ければいいってものでもない」とビッグデータのもてはやされっぷりには懐疑的だ。  では、なんで統計が大ブームなのか? 日産に勤務し、経営課題解決プロジェクトに従事する柏木吉基氏は、「ビジネスにおいて、数字が力を持つようになっている」と語る。 「グローバル化・多様化により、かつては日本人同士の“あうんの呼吸”、『普通そうだよね』の“普通”が通じなくなっています。例えば、インド人の上司に『日本市場の特性』を説明するには、言葉を尽くすより数字を用いたほうが早い(笑)。また、効率が重視されるようになり、カンや経験で行われていた非効率的な仕事をデータに置き直し合理化することが求められている」(柏木氏)  また、飯田氏は、「ビジネスでプレゼンテーションの重要性が増しているため」とその背景を分析する。 「1対1ならば、パッションのほうが説得力を持ちます。しかし、1対多数での説明で力を発揮するのはエビデンス(根拠)。エビデンスの王様と言えるのが統計なんです」 ◆統計分析は経験の代替物  ビジネスシーンで存在感が増す統計。「仕事はガッツと誠意で!」をモットーにしてきた数字オンチにとっては生きづらい世になったわけで。 「でも、ある意味、統計は経験とカンの代替物。僕は統計より名人のカンのほう当たると思う。でも、経験のない若手社員、経験の蓄積が下手な人にとって、コンスタントに大体70点位の結果を出してくれる統計は非常に便利な道具。70点のアベレージヒッターになれたら、すごいじゃないですか」(飯田氏)  統計学はむしろ“凡人のための武器”!? そして、ビジネスにおける統計学で求められる数学力は、学校の数学力とはまた別で、「乱暴な言い方をすれば、学校の数学を勉強し直さなくても、統計学を武器にビジネスで活躍することは可能」(深沢氏)だそう。 「実践で必要なのはシンプルなツールをどう使うか。高度な計算から導き出した結果をプレゼンしても、相手が理解できなければ何の意味もありません。与えられた課題について、上手に数字を使って主張をすれば、説得力が変わります」(柏木氏)  8/27発売の週刊SPA!『[超実践]偏差値45からの統計学入門』では、「最弱リーマン」のために必要最低限の統計知識を解説している。是非この機会に便利な武器を手に入れてみてはどうだろう。 <取材・文/週刊SPA!編集部 イラスト/YAGI> 【飯田泰之氏】 明治大学政治経済学部准教授。『考える技術としての統計学』、『経済学的思考の技術』など著作多数。その経済統計の手腕は本誌連載「週刊チキーーダ!」でもお馴染みで、9月にこれまでの調査分析データをまとめた本が刊行予定 【柏木吉基氏】 日産自動車組織開発部ビジネス改革チームマネージャ。経営管理、数値解析、意思決定論を専門に執筆・指導なども行う。著書に『それ根拠あるの?と言わせないデータ・統計分析ができる本』『Excelで学ぶ意思決定論』などがある 【深沢真太郎氏】 BMコンサルティング代表、ビジネス数字・カレッジ学長。ビジネス数学を専門に、企業や大学でコンサルティング活動を行い、これまで約3000人に指導。著書に『「仕事」で使える数学』『数学女子智香が教える仕事で数字を使うって、こういうことです。』がある
週刊SPA!9/3号(8/27発売)

表紙の人/壇蜜

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