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「ブラックバイト」で苦しむ島の女子高生

 ブラック企業という言葉が定着して久しいが、最近は、その派生形として『ブラックバイト』という言葉が使われ始めているとか。ブラック企業のように、労働環境の過酷なアルバイト現場のことを言うらしいが、実際、どれほどのものなのだろうか。
ブラックバイト

※写真はイメージです。

「私のバイト先は真っ黒です!」と憤るのは、広島県在住の女子高生あかりちゃん(18歳・仮名)。 「ケーキ屋でバイトをしてるんですが、給料の出ない残業が毎日1~2時間で、試験期間も休ませてくれません。あげくの果てに、300円~500円ほどする余ったケーキを、買って帰るようにやたらと勧められるんです。断ると、急に冷たい態度をされたりして……。時給が730円で交通費も出ないのに、そんな値段のケーキ買えませんよ!」と、『自社の余った商品を買わされる』という、ブラック企業にありがちな仕打ちが、バイトにおこなわれている事態が判明。ただ、社員ならまだしも、学生のバイトであれば、すぐ辞めちゃえばいいのでは、とも思うが……!? 「新しいバイト先に変えたらもっとブラックになるんじゃないか、と思うと不安で変えられないんです。実は、前にバイトしていたパン屋も、シフトは勝手に決められるし、タイムカードがなくて、店長のさじ加減で勤務時間が決まるようなところで、3日で辞めたら給料がもらえませんでした。高校の友達にも似たような話をたくさん聞くので……」  連続して酷い環境で、さらに周りもそうだということは、ブラックバイトが多い地域なのだろうか。 「多いほうだと思います。島に住んでいるので、そもそも家の近くには働ける場所がほとんどなくて。でも、市の中心部まで行っても、高校生ができるものは少ないんです。どうしても飲食店が中心になっちゃいますが、どこもブラックさは、そう変わらない感じですね。悪い噂を聞かないのは、郵便局かコンビニのレジくらいです」とのこと。  ちなみに、島からはフェリーでバイトに行くので、交通費だけで月3万円はとんでしまうが、それでもバイトはしたいのだという。彼女に代表されるように『働きたい高校生はいるが、働ける場所は少ない』という状況の中だと、雇う側の立場が強くなり、アルバイト環境はどんどんとブラック化していってしまう。 「私も周りの友達も、バイトに行く度にストレスが溜まってしまって……。将来働くことが不安になります……」とあかりちゃんは嘆く。ブラック問題が苦しめる対象は、ブラックホールのようにどんどんと広がり、高校生の未来にまで暗い影を落としている。 <取材・文/霜田明寛>
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