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東京五輪で注力すべきはインフラ整備ではない

’20年開催が決まった東京オリンピック。これを受け、建設・不動産株が好調と市場も賑わっている。しかし、その好調の裏には最終的に国民にふりかかるデメリットがあるとぐっちーさんは指摘。観光立国を目指すほうが国民にメリットがあるというのだ。 ◆東京オリンピックで注力すべきは観光業です!
(現役金融マン ぐっちーさん)
ぐっちー氏 私が個人的に反対していた東京オリンピック開催が決定しました。本当はイスタンブールが出ていたので、世界で最大の親日国と言われるトルコをファイナンスして、“イスラム圏初のオリンピック開催に向けて裏方で応援する”ほうが、はるかに日本のためになると考えていたのです。この考えは今も変わりませんが、東京開催は決まってしまったので、あとはこれをどう有意義に展開していくか考える必要があります。  経済効果3兆円とか言われていますが、目先の土木工事にいくら集中しても、もう経済効果がないことは明らかです。’64年大会は将来も使えるインフラの整備が目的でしたが、今の東京に恒久的に必要なインフラはもうそれほどありません。ですが、すでに総額4554億円もかけるスタジアム建設が決定!! 個別に見ても国立競技場の改修工事費に1300億円かかり、オリンピックでいくら人が入ったところで8万人収容するスタジアムをオリンピック終了後、30年以上改修しながら黒字を維持することはどう見ても不可能です。  日本はどんどん人口が減っていくので、黒字経営は高度成長期がきても無理なのです。建物というのは、30年程度のスパンで見ると、最初の建設費は全体の比率の3分の1にすぎません。あとは残り29年間の維持・改修費にかけられるのですが、最初の建設費も含め、これらはすべて我々の国民負担です。今の国立競技場でさえ満員にできるイベントは年間10日分もないのに、それをオリンピックサイズにしたら、黒字経営はまず不可能でしょう。ベルサイユ宮殿じゃあるまいし、歴史的価値なぞつくものでもありません。  その他、晴海の選手村建設に1057億円、競泳などのプール建設に397億円ともう滅茶苦茶な土建工事の嵐。終わった後、「どーすんだよ、おい」と私は言いたい。そもそもギリシャはオリンピック投資の無理がたたって倒産したんですぜ(そういえば一日乗降客400人の大船渡駅に復興予算を使って10億円規模の駅舎建設計画を提出してきたバカ建設事務所もありましたね)。 ⇒【後編】経済評論家ぐっちーさん「東京オリンピックで観光立国を目指せ」
へ続く https://nikkan-spa.jp/512754
【選者】現役金融マン ぐっちーさん ウォール街で20年生きてきたノウハウをブログに執筆し、いち早くサブプライムローン問題に警鐘を鳴らしていたアルファブロガー。金融と経済を中心としたオピニオンブログ「THE GUCCI POST」(http://guccipost.jp/)を主宰している
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