球界一の秀才!上原、田沢に続く「第三の男」に注目

 強豪デトロイト・タイガースとのリーグ優勝決定シリーズを制し、ついに6年ぶりのワールドシリーズへと駒を進めたレッドソックス。上原浩治、田沢純一の日本人リリーフ右腕コンビは共にプレーオフ10試合中8試合に登板する大車輪の活躍を見せ、上原は日本人選手初となるシリーズMVPも獲得した。

クレイグ・ブレスロウ

田沢、上原に挟まれて登板することも多いブレスロウ。シーズン途中の移籍を過去に3度も経験した苦労人だ

 レッドソックス躍進の原動力となったブルペンには、上原&田沢の他にもう一人、勝利の方程式に欠かせないピッチャーがいる。

 メジャー8年目、33歳のサウスポー、クレイグ・ブレスロウ。日本ではおろか米国での知名度も決して高い選手ではないが、今季は61試合に登板して防御率1.81の好成績をマーク。プレーオフでも7試合に登板し、計7イニングを無失点と完璧なリリーフを見せている。

 2005年のメジャーデビューから計6球団でプレーした後、2012年途中にレッドソックスに加入(2006年にもレッドソックスでプレーしていたため、2度目の所属)。移籍の活発なメジャーリーグにおいても、特に数多くの球団を渡り歩いて来た“ジャーニーマン”だ。

◆医学部合格を蹴りメジャーリーガーに

 成績だけ見ると「優秀なリリーフ左腕」程度の印象しかないブレスロウだが、この選手は“球界屈指の秀才”として知られている。

 高校時代に、アメリカで大学入学の際に重視されるSAT(数学能力評価試験)で1410点という超高得点を収めた。このスコアは「IQ150」に該当するという。その後、アイビーリーグの名門イェール大学に進学し、分子生物物理学と生化学をダブルメジャー(複数専攻)で学んだ。

 2002年には大学の野球チームでキャプテンを務めた傍ら、ニューヨーク大学のメディカル・スクールに合格。泣く子も黙る文武両道ぶりだ。2010年にスポーツ専門メディア『Sporting News』が特集した“20 smartest athletes in sports”(スポーツ界で最も賢い20人)では、堂々の1位に輝いた。

 メジャーリーガーになるという夢を叶えるため医者になる道を諦めた男は、しばし“smartest man in baseball”(球界で最も頭脳明晰な男)と称され、バリバリのメジャーリーガーとなった今もその知性を発揮している。

◆プロ評論家も顔負けのコラムを執筆

 たとえば、ブレスロウは今プレーオフ期間中、ボストンの地元スポーツメディア『WEEI』のウェブサイトでブログを執筆している。

 ブログといっても、アスリートのブログにありがちな日記の延長程度の内容ではない。自軍の試合について選手目線で緻密に分析し、豊かな語彙と表現力を駆使して論評している。ブログというよりは、立派なスポーツコラム。誰よりも現場を知る選手自身がプロ級の文章力で試合を語るとなれば、並の記者では太刀打ちできないだろう。

 ちなみに、そんなブレスロウをも興奮させたのが、シリーズ第2戦での劇的な大逆転勝利。レッドソックスはこの日、8回に主砲デイビッド・オルティスのグランドスラムで4点差を追いつき、9回にサヨナラ勝利を収めた。この試合後のブログでは、流石のブレスロウも一言「言葉では表現できない瞬間がある」とだけ綴った。

 ブレスロウからバトンを受けることも多い上原も、自身のブログを頻繁に更新することは「上原浩治はなぜ毎日ブログを更新するのか(http://nikkan-spa.jp/520595)」でも紹介した通り。6年振りに世界一へ突っ走るレッドソックスを支える勝利の方程式は、球界屈指の“ブロガーリレー”でもあるのだ。

◆自ら財団を立ち上げチャリティ活動

カーティス・グランダーソン

社会貢献活動に熱心な選手として知られるグランダーソン。昨オフは来日し、被災地を訪れるなどした

 ブレスロウはまた、“Strike 3 Foundation”というチャリティ財団を自ら設立、運営しており、子供の癌検査を促進するためのサポートや啓蒙活動を行っている。アメリカではチャリティに精を出すプロアスリートは少なくないが、医療分野に特化した活動は珍しい。流石は医学部を蹴ってメジャーリーガーになった男だ。

 高等教育を受けた選手には社会貢献活動にも積極的な選手が多い。名門イリノイ大学出身で、やはり秀才として知られるニューヨーク・ヤンキースのカーティス・グランダーソンも、自身の財団を設立し様々なチャリティ活動を行っている。MLBの国際親善大使も務めるグランダーソンは昨年12月に来日もし、被災地を訪れ子供たちに野球教室を開いた他、早稲田大学で「プロスポーツとCSR(社会的責任)」について政治家顔負けのスピーチも行った。

⇒【写真】昨オフ来日したカーティス・グランダーソン
http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=525194


 良質な教育を受ける機会と、アスリートとしての類希なる才能に恵まれた文武両道の選手たち。彼等は「一方を選び一方を捨てる」のではなく、幸運にもプロアスリートとして成功を収めたとき、自身の学びや経験を社会に還元することに尽力する。社会とスポーツの関係が密接な、アメリカならではの素晴らしい文化だ。

<取材・文/内野宗治(スポーツカルチャー研究所)>
http://www.facebook.com/SportsCultureLab
海外スポーツに精通したライターによる、メディアコンテンツ制作ユニット。スポーツが持つ多様な魅力(=ダイバーシティ)を発信し、多様なライフスタイルを促進させる。日刊SPA!ではMLBの速報記事を中心に担当

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