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マイナー選手のツイートで噴出「MLBの不正投球疑惑」

カージナルス

MLB公式サイトより

 レッドソックスとカージナルスによる今季のワールドシリーズが、米国のテレビ中継でも高視聴率を叩きだし注目を集めている。不況の影響で観客減やレギュラーシーズンの視聴率低下などが指摘されていたメジャーリーグにとっては、久しぶりに明るい話題だ。だがその陰で、実はあまり明るくない話題について米国野球ファンの間で激しい論争が起こっているのをご存知だろうか。  論争のネタは、ワールドシリーズ第1戦で好投したレッドソックスの先発投手ジョン・レスターが、グローブに不自然な物質を付着させていたことだ。  それを最初に発見してツイッターで指摘したのが、カージナルスのマイナー選手タイラー・メリング。彼がツイッターで「ジョー・レスターは今夜はグローブの内側に塗ったヴァセリンを使っているのかな?」とつぶやいたことがきっかけで、ツイッター上でこれが拡散され、不正投球疑惑が浮上した。ヴァセリンというのは石油を原料とした肌荒れ防止商品で、日本のドラッグストアにも売っているお馴染みのもの。第1戦のレスターの投球映像を見ると、グローブの親指側先端部分に緑色の物質が付着しており、レスターが投球前に利き腕である左手の指でその物質を触っているところがテレビカメラにはっきりととらえられている。その物質が半透明の緑色だったためメリングが「ヴァセリン」と思ったようだが、実際にはそれが何だったかは不明だ。  これに対してレスターは「あれはただのロージン(滑り止め)だ」と説明しているが、ロージンは本来、白い粉状のものだ。レッドソックスのジョン・ファレル監督は「ジョン・レスターをよく知ってる人なら分かると思うが、彼はブタのように汗をかくんだ。だからロージンが必要なんだ。一つだけ妙だったのは、それが緑色だったということだ。どうしてそうなったのかわからない」と見解を述べている。レスター自身も「なぜ緑色に見えたのかわからない。鼻くそのようにも見える。ライトの関係でそう映ったのかもしれない」と首をひねった。  疑惑が広がったため大リーグ機構も異例の声明文を発表。「映像を見ただけで結論を出すことはできない。カージナルス側からは何の申し立ても出ていないし、審判団も試合中に違法な物質の存在があったとは認識していない」と火消しに走った。  カージナルスのマイク・マシーニー監督も「我々はただ試合をするだけだし、この問題はもう終わったこと」と事を荒立てる意思はまるでなく、同球団のジョン・モゼリアックGMは「何も問題はない」と疑惑を一蹴している。 ⇒【後編】に続く「疑惑は否定されたかに見えたが……」
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<取材・文/水次祥子>
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