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米政府が二度目の「閉鎖」になる悪夢

吉田 恒

吉田 恒氏

 米金利が、10年金利が2.5%割れ含みになるなど低下傾向が目立っている。この背景には、来年1月からの米政府の2度目のシャットダウンの可能性も含めた、FRB緩和縮小開始への不安という影響は大きいのではないか。 ◆米緩和縮小は始められない?  米政府の一部機能は、今回、政府と議会の暫定予算が合意に達しなかったことで、16日間の停止となった。これは、1996年12月から続いた21日の機能停止などに続き、少なくとも1977年以降では3番目の長期の機能停止となった。  最長のシャットダウンは、1996年12月から翌年1月にかけて21日間続いたもの。これは、クリントン政権時代、議会は野党の共和党が過半数を占めたことから、政府、議会で与野党の多数が分かれた結果、政府、議会の対立が強まった影響があった。  さて、今述べた政府と議会の対立構図は、最近の場合も似ている。こういったことから、政府と議会の予算交渉がすでにヤマを越えたかは微妙であり、これを争点として、まさに1996年のように、政府機能の閉鎖が再開する不安も、一部で警戒されているようだ。  今回の長期に渡った政府機能の停止により、当面発表される10月以降の米景気指標の結果は期待できないとの見方が強い。問題は、それがどれだけ長く続くかということ。特にそれが、2度目の政府機能停止につながるようなら、FRB緩和縮小開始時期へも大きな影響となりそうなだけに、予断許せないだろう。(了) 【吉田 恒氏】 1985年、立教大学文学部卒業。大手投資情報会社で編集長、代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。 2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
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