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円安再開なるか、米株が「キーマン」という理由

吉田 恒

吉田 恒氏

 注目された米10月雇用統計は、NFPが20万人の増加となり、事前予想コンセンサスの12万人程度の増加を大幅に上回るポジティブ・サプライズになりました。これを受け、FRBの超金融緩和見直しの開始、いわゆる緩和縮小の早期実現観測が再燃し、その中で米10年金利も2.75%まで大幅上昇、そしてドルも99円台へ上昇しました。  では、この米金利上昇、ドル高は一段と広がっていくのでしょうか。それを考える上でのカギは、米株の動きが握っているのではないでしょうか。 ◆米金利の運命を決めるのは何か  一般的には、米緩和縮小の早期実現、たとえば12月の緩和縮小開始を警戒し、米国債が売られ、金利が上昇する可能性が注目されるかもしれません。ただ、CFTC統計の投機的米10年債ポジションは、すでに11月5日現在で20万枚近い売り越しとなり、経験的には売られ過ぎ領域に入っていますので、投機米債売り余力には限界があるのではないでしょうか<資料1参照>。 ※<資料1>はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=536182
米株

<資料1>

 それでも、米緩和政策の見直しが年内に始まるなら、米金利は一段と上昇するのでしょうか。ただ、金融政策でも長期金利はコントロールできないというのが常識ですから、緩和見直しが早期に実現するとしても、必ずしも米金利が上昇するということではないでしょう。  コントロールできない長期金利は何で決まるかといえば、基本は景気と物価ということになります。そのわかりやすい目安の一つが株価です。以上のように整理すると、8日の「NFPサプライズ」を受けて、とくに注目されたのは実態経済の強さを好感したとして米株高になったことでしょう。これによって、米金利上昇も正当化された形になりました。  こんなふうに見てくると、米金利上昇、ドル高が一段と広がるかを考える上での鍵は米株が握っているということになるでしょう。では、米株は実態経済の予想以上の強さを好感する形でさらに一段と上昇するのでしょうか。 「恐怖指数」VIX指数は、足元で13ポイント前後といった経験的な下限での推移が続いています<資料2参照>。これはリスクオン、つまり株などリスク資産の選好余地がかなり限られる段階に入っていることを示しています。(了) ※<資料2>はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=536183
米株

<資料2>

【吉田 恒氏】 1985年、立教大学文学部卒業。大手投資情報会社で編集長、代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
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