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オセロ世界選手権優勝者「オタクっぽく思われると思って黙っていた」

なでしこジャパンのW杯優勝は確かに素晴らしかった。でも、日本にはまだまだすごい人たちがいる。世間ではあまり知られていないけど、実は世界で活躍しているマイナー競技の“偉大なチャンピオン”たち。その奮戦ぶりと日々の鍛錬、競技への情熱を、しかと見よ! 【オセロ】 高梨悠介さん(オセロ世界選手権大会2連覇) ◆初めての世界大会出場のときは学校の友達にも黙っていた
高梨悠介さん

09年の世界選手権で優勝を決めた一手を再現。「一手ごとに劇的に戦局が変わるのが奥深い」と高梨さん

中2のとき、暇つぶしにオセロのオンラインゲームをやったら、まったく勝てなかったんです。勝敗は運で決まるものと思ってたのに、ちゃんと技術や理論があると気づいて衝撃を受けた」と話す高梨悠介さん(18)。この体験がきっかけでオセロに熱中した結果、09年、10年と2年連続で世界選手権大会・個人の部優勝を実現した。 「以前から世界大会の映像を見て『自分も出たい』とすごく憧れてたので、初出場のときは緊張よりも楽しみで。ただ、あまり調子はよくなかった。予選は13試合あるんですが、ギリギリで決勝トーナメントに進んだ感じ。印象的だったのは決勝戦。相手はドイツ人男性でしたが、対局中にお菓子をボリボリ音立てて食べたりするんですよ。注意されても全然改まらない。ほかの出場者からは『こんなマナーの悪いヤツを勝たせるのか!?』みたいな空気もあったので、勝てたときはホッとしました(笑)」 翌年の世界選手権も決して楽な戦いではなかった。 「日本人のオセロの強さは世界屈指と言われていて、だから日本代表になるのがまず困難なんです。ただ、年々海外のレベルも上がってるのでまったく気は抜けません」 それでも2年連続で世界王者ともなれば鼻が高いよね? 「実は学校の友人とかにはオセロをやってると言ってなかった。マイナーな競技だしオタクっぽく思われるんじゃないかと。最初の世界大会で学校を休むときも担任に『皆にはオセロってことは内緒で』と頼んだんです。でも、帰国したら皆に祝福されて。先生、言っちゃったんだと(笑)。僕はオセロのおかげで向上心が身についたし、多くの仲間とも出会えた。一生の趣味を見つけた気がしますね」 ― 知られざる偉大な日本人王者大集合【4】 ―
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