海外進出し始めたラーメン業界の裏側とは?
近年、日本のラーメン店の海外進出が盛んだが、特にタイ、シンガポール、インドネシアなど東南アジアへ出店が多い。「博多一風堂」「山頭火」などの有名チェーン店や、東京を中心に展開する人気店「東京らーめんけいすけ」や「ラーメン凪」なども、東南アジアに複数の支店を出し、成功を収めている。
このラーメン店の海外進出ラッシュについて、海外のラーメン事情に詳しい東京都新宿区にある人気ラーメン店「ぼり・うむ」の店主、清水博丈さんが語ってくれた。
「ご承知の通り、日本のラーメン市場はもう飽和状態です。そこに近年、橋渡しをするブリッジカンパニーみたいなものが出てきました。後は地元の有力企業や商社などから声かけられることがあるみたいですね。特にシンガポールに出している店舗は好調だと聞いています。また、当初は失敗するだろうと思われていたのに成功したのはインドネシアですね。インドネシアはイスラム教徒の国なので、豚肉や豚骨スープを使うことの多い、日本のラーメンは成功しないと思っていましたが、2億人以上も人口がいて、イスラム教以外の宗教の方で、ラーメンを食べる人が意外に多かったらしく、大成功のようですね」
ただ、海外進出にはさまざまな落とし穴も存在するようで。
「例えば、タイの某商社などが『レシピを教えてくれて、屋号を貸してくれれば管理は全部自分たちでやる』と言ったものの、いざ蓋を開けてみると、本店から渡した通りのレシピでラーメンを作らなかったり、勝手に『トム・ヤム・クンラーメン』などメニューを追加したりと、管理がずさんなんです」
管理がずざんなだけではなく、あくどい手口でお店の権利を実質的に奪われてしまうこともあるとか。
「最後は契約不履行みたいな感じに追い込んで、日本のラーメン店に契約を破棄させて、後は自分たちで勝手にやってしまうという手口もあると聞いています」
中にはこういった手口に引っかかり、失敗した有名店もあるとのこと……。海外進出する際は現地食事情に詳しい誠実なパートナー選びも重要だ。清水さん自身も一度、海外進出の話を具体的に動かして酷い目にあったという。
「私のところにも『海外に店舗を出しませんか?』みたいなFAXやDMがしょっちゅう届きます。一時期、アメリカのカリフォルニアから話がきて『ニューヨークでもシカゴでもお好きなところにどうぞ』という話だったので、話を聞いてみると、3000万とか物凄い金額を提示されたんです。そして、呆れたのは先方が、現地の保健所や建物の検査基準を把握してなかったんです。この話をし出したら黙り込んでしまいました(苦笑)」
日本のラーメン業界が海外で活躍している一方、中にはこんな“黒い話”もちらほらあるようだ。
※写真はイメージです<取材・文/トモMC>
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