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問題も多々あるポストチャイナ市場にメリットはある?

 新興国など「ポストチャイナ市場」がもてはやされている昨今だが、いわゆる“チャイナリスク”との違いはどこにあるのだろうか? 東南アジアでの起業を多数サポートしている経営コンサルタントの藪亀邦恭氏に聞いた。
藪亀邦恭氏

藪亀邦恭氏

「同じ東南アジアといえど、国ごとに宗教、習慣、言語が違います。その違いに慣れておかないと、ローカル的要素を利用されて簡単に騙されます。現地語による契約書詐欺や、法を悪用した会社の乗っ取りなどはその典型といえるでしょう。タイやインドネシアなど、労働者が日本よりも手厚く労働法で保護されている国もありますし、法知識が不十分だと現地労働者とのトラブルも起きやすい」  また、東南アジアならではの不安定な政情や気候もデメリットだ。 「雨期は日本の梅雨とは比べものになりません。川はたやすく氾濫し、街は水浸しになり、すべての都市機能が長期間ストップします。都市部に人口が集中しているにもかかわらず、公共交通機関が発達していないため車かバイクでの移動を余儀なくされ、常に渋滞が発生。そのため、時間が守られることはほぼありません。また、東南アジアでは常に利権狙いのクーデターが画策されており、暗くなると軍隊がいたるところで何かしらの集会を開いている光景ですから、男性でも夜に出歩くのは危険。いつ何が起きるかわからないというデメリットは簡単には消えないでしょう」
タイ,バンコク

タイのバンコク市内の交通渋滞

 これだけ聞くと、中国に負けず劣らず過酷な条件が出そろっているが、それでもチャイナリスクに勝る点があると藪亀氏は話す。 「中国と決定的に違うのは、親日家が多い点。勤勉で宗教観も似ており、日本人を尊敬してくれていますので、中国よりも生活はしやすいでしょう。その点をうまく生かせれば魅力的な市場になると思います」 【藪亀邦恭氏】 経営コンサルティングなどを行う、(株)リアルアシスト代表。東南アジア起業におけるコンサルティングを数多く手掛けている 取材・文・撮影/カルロス矢吹 丸山佑介 写真/ランボルギーニ・タコラ 和田虫象 ― 中国より酷い[ポストチャイナ市場]の恐怖【3】 ―
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