「日本企業は昔から“洗脳”のようなものがあった」人事コンサルタント城繁幸氏

夢、仲間、絆、希望、笑顔、理想の自分――。ブラック企業に限らず、“ポエムな言葉”が盛り込まれた社歌を歌いながら体操したり、社員に駅前清掃を強要する企業も少なくない。こうした独自の規定を義務づけ、社員の労働意欲を引き出し洗脳しようとする「ポエム化する日本企業」の実態とは?

◆ポエム化していた日本企業。さらに広がる余地もあり拡大

城繁幸氏

城繁幸氏

「日本企業は昔から“洗脳”のようなものがあった」と指摘するのは、人事コンサルタントの城繁幸氏だ。

「大企業もブラック企業も新入社員研修はまさに“洗脳”そのもので、会社の一員になったという一体感を生み出す儀式のようなもの。毎朝、社是を斉唱したり、社歌を歌いながら体操する大企業なんて居酒屋甲子園となんら変わらないし、社員旅行に強制参加させられる企業も少なくないですよね」

 拒否権のない大企業の正社員のほうが、この手の自己啓発被害は深刻だという。

「富士通でも40代のおじさんたちが泣きながら社歌を歌ったり絶叫する、自己啓発セミナーさながらの『課長研修』というのがあって、NHKでも放送されたんです。居酒屋甲子園どころじゃないですよ(笑)。それから数年は学生の応募がシャレにならないくらい激減して大変なことになったんですが、どこもあんなモンです。そういう意味では、日本企業は“ポエム”に侵食されているんです」

 営業や接客のある大企業では、ロールプレイング全国大会や接客コンテストなんてものが全社をあげて開催されることも珍しくない。

「離職率が高いサービス業を中心に、何らかの満足感を得るために“ポエム”が広がる余地はあったのでしょう」と城氏は話す。

「外食産業は『離職率が高すぎる』『若者の使い捨て』と批判されるから居酒屋甲子園やポエムで帰属意識を高めて前向きに働ける工夫をしたのに、今度はキモいだの洗脳だの言われるのは、いくらなんでもかわいそう。居酒屋の店員は楽しんじゃダメなの?という疑問すら抱きます。僕なら、笑顔で働く店員のいるお店でお酒を飲むほうがおいしいと思いますけどね」

【城繁幸氏】
人事コンサルタント。『若者はなぜ3年で辞めるのか』(光文社新書)がベストセラーに。『若者を殺すのは誰か?』(扶桑社新書)が発売中

取材・文/日本企業ポエム化問題取材班 撮影/ワタロック モデル/堀内克哉(劇団光希) 加賀成一(コントユニット大人のカフェ)
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