ポーカー世界大会「APPTソウル2014」に挑戦!そこは強豪プレイヤーが巣食う“鬼の棲家”だった

ポーカー世界大会,APPTソウル2014 前回の記事「ポーカー全国大会挑戦レポート」で奇跡の優勝を果たし、ソウルで開かれる世界大会の参加権を獲得した本誌記者。前日夜に現地入りをして「APPT(Asia Pacific Poker Tour) Seoul Main Event」に参加することとなった。

 メインイベントは3日制で行われる。参加人数が多いため、1日目はDAY1A、DAY1Bに分けられる。ブラインドは1時間ごとに上昇していき、DAY1はレベル8まで争われる。この時点で、半数以上がチップを失って敗退と予想される。まずはDAY1を生き残らないことには始まらないのだ。

 本大会の参加人数は256人。28位以上がイン・ザ・マネー(入賞)で、そこから順位が上がるごとに賞金額がアップしていく。優勝賞金は1億8500万ウォン(約1850万円)という大金。「やべっ、優勝したらどうしよう。まず、なじみのスナックを貸し切りにして宴会して、中古でポルシェのカイエン買って……」などと、出場前から狸の皮算用が止まらず、仕事が手につかない。ビッグマネーの夢があるからこそ、ポーカー大会は盛り上がるともいえるのだが……。

 記者は参加権をゲットしての参戦のため、参加費300万ウォン(約30万円)を免除されてのエントリーとなった。「自腹なら参加したか?」と言われればかなりビミョーな金額だ。とはいえ、確率的に「10人に一人」しか入賞できないゲームなのに、これだけの大金を払うプレイヤーがいることも事実。よほど腕に自信があるといっても過言ではないのだ。

 大会のレベルの高さは、参加している日本人プレイヤーの顔ぶれを見ていてもわかる。WSOPチャンピオンのNaoya Kihara、オンラインポーカーの最大手「Poker Stars」の最高ステータスSNE(スーパーノヴァエリート)を獲得したKosei Ichinose、ANZPT(オーストラリア・ニュージーランドポーカーツアー)で昨年度のプレイヤーオブザイヤーに輝いたIori Yogo、WSOPメインイベントで日本人最高位に入り、麻雀のトッププロでもあるTakashi Ogura、そして「21歳で賞金1000万円! ポーカー世界王者」の記事で紹介したWPTチャンピオンのMasato Yokosawa。

ポーカー世界大会,APPTソウル2014

トリプルクラウンを達成しているELKY。世界中で知られるトッププロだ

 列挙した以外にも数えきれないほどの強豪、プロプレイヤーが参戦している。隣のテーブルに目をやれば、獲得賞金10億円超のフランス人トッププロ、Elkyという通称で知られるフランスのBartrand Grospellierの姿が! まさに“鬼の棲家”といった面々に、早くも尻の穴がキュッとしぼむ思いだ。

 とはいえ、一発勝負のトーナメントには運の要素も大きいことは、記者が優勝したことでも証明したとおり。そもそも、ポーカーというゲームが囲碁、将棋と同じく「スキルが上の者から順位が決まっていく」ものであれば、これほど多くのプレイヤーが熱狂し、多数の参加人数が集まるはずもない。気を引き締めてゲームに集中することにした。

 スタートチップは2万点。2万→4万と最初の3、4時間は好調だったが、ショートスタックとのオールイン対決、88(自分)対AJ(相手)、AQ(自分)対AK(相手)で2連敗し、1万5000にまでチップを減らす。

 その後、3万5000にまで戻したところで、その日の最後のレベルであるレベル8(ブラインド500/1000/アンティ100)になった。現状のチップ数はアベレージより下。ブラインドとの比率的にはまだあせる局面ではないが、少しでもいい位置でDAY2を迎えたいもの。レベル8に入ってから15分、ボタンの右隣にいた自分にQTs(スーツは両方ともハート)が入り、2200にレイズ。5万点ほどのチップ数を持つ左隣のボタンのプレイヤーがコールしてきた。

フロップ(場に出ているチップは6800)
QJ8

 QとJはスペードで自分にはフラッシュの目はない。ちょっとウェットなボード(いろんな手が絡みやすい場札)だが、トップペアをヒットしている記者はまずベストハンドだと考え4000点をベッド。すると、望ましくないことに、相手から1万点のレイズが返ってきた。コールするには6000点が必要だ。

 自分の手持ちは現時点で2万9000点。コールすると2万3000点しか残らず、仮にコールをした時点で場に出ているチップ量は2万7000点。これはいわゆる“ポットコミット”と呼ばれる状態になる。場に出ているチップが多すぎて、自分が持っているトップヒットほどの強い手なら、次のターンカードの大半で、まず全額突っ込むのが数学的にはベストプレイになってしまう。その時点で、自分より“少し強い手”を持っている相手を「フォールド」させる可能性も格段に減ってしまう。というわけで「コール」の選択は却下した。

 チップ量的には「レイズオールイン」するか「フォールド」するかの選択となる。相手の手は、強い手であることは間違いないが、どれほどの強さなのか。プリフロップで自分のレイズにジャストコールしたことから、88はあるかもしれないが、QQ、JJといったスリーカード完成のハンドは考えにくい。ありそうで怖いのはストレート完成のT9、ツーペア完成のQJといったところだが、同程度の確率でナッツフラッシュドロー(ドローとはあと1枚でストレート、もしくはフラッシュが完成する状況)、スペードでない8をヒットしてのフラッシュorストレートドロー、JTといったこちらが現状勝っている手もある。AQo、QKといった手ももちろんありそうだが、このボードで生き死にを賭けたオールインした場合、降りてくれる可能性はある。

ポーカー世界大会,APPTソウル2014

“鮫の脳ミソ”である記者のお粗末なCPUもこの日ばかりはフル回転

「オールイン」か「フォールド」か。8:2の割合で「フォールド」寄りに傾くが、そこは素人の悲しさ。「確か前回の日本の大会で決め手になったハンドはQTだったなぁ」とオカルト(!?)理論が背中を押し、1分程度小考したのち、次の言葉を発する。

「オールイン」

 賽は投げられた。相手が降りればチップ数は5万点程度になり万々歳だ。ストレートの引き目があることから、コールされても「ドローイングデッド」(勝率0%。次にどんなカードが出ても完全に勝ち目のない状況)であることはほぼない。相手が3分ほどの長考に沈んだのを見て、心の中で「降りてくれ、降りてくれ」と念じる。が、相手が意を決して「OK CALL」と発したの聞いて、現実に引き戻される。

⇒【後編】に続く http://nikkan-spa.jp/622869

<取材・文/スギナミ 写真・取材協力/ポーカー速報>

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