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地元で働いて昔からの仲間と遊ぶ「マイルドヤンキー」の日々

「ヤンキー経済」という言葉が注目を集めている。現代の消費のキーワードは、地方都市のマジョリティである地元族の若者たちが担っているという見方だ。大企業も注目し始めた彼らのライフスタイルと独特の思想・本音を聞いてみた! ◆マイルドヤンキーはすでにマジョリティになっていた!? ヤンキー経済 愛車のダイハツ「ムーヴカスタムLリミテッド」を運転するのは、北関東在住の会社員・墨田絵美理さん(仮名・23歳)。田園や畑の中を走る広々とした片側2車線の国道を飛ばすと、砂漠の中のラスベガスのごとく忽然と現れたのは、巨大な敷地のショッピングモールだ。 「ココが私らの拠点ですかね。休日、ここに一度車で集まって、一台に相乗りして買い物や遊びに行くんです。ガソリン代、割り勘にできるじゃないですか。平日の仕事が終わってからも、休日も、基本一人でいることはない」  濃いメイクとブラウンの巻き髪に、長い付けまつげというキャバ嬢風だが、仕事は地元企業の経理担当。専門学校で簿記資格を取得して20歳で就職したが、フルタイムで働いて給料は手取り12万円弱。地元の仲間内では平均的だという。 「あれあれ」と絵美理さんが指さす先には、若干年式が古く、窓はフルスモークでローダウンカスタムを施されたガラの悪い黒セダン。友達の彼氏の車だ。大体ここに来れば、誰かしら地元の友達がいる。  絵美理さんは、いわば典型的な「マイルドヤンキー」だ。昨今、話題となった『ヤンキー経済』(幻冬舎新書)が言う、消費の主役になりつつある“新保守層”のこと。
原田曜平氏

原田曜平氏

 同書の著者である原田曜平氏は、彼らをこう定義する。 「上“京”志向がなく、地元で強固な人間関係と生活基盤を構築し、地元から出たがらない若者たちのこと。彼らが大切にしているのは、生まれ育った土地に根ざした同年代の友人、育まれた絆意識、家族と地域を基盤とした毎日の平穏な生活です。彼らは若者の都市部集中、車離れ、晩婚化、少子化といった時代の流れとは別の経済活動や行動様式を持っている」  絵美理さんの場合、地元の「イツ面」(いつも一緒の面子)は、男女合わせて10人ほど。小学校時代の同級生と、地元フットサルチームで知り合った仲間たちだ。 「不便を感じたことは一度もない。大体、必要な店はバイパス沿いで固まってるし、友達と協力したり工夫すれば安く生活できる環境が整ってるでしょ?」  彼らのようなマイルドヤンキーこそが日本の若者のスタンダードになりつつあるというが……知られざる彼らのライフスタイルと本音を探った。 ⇒【次回】『なぜ「上京したら負け」なのか? マイルドヤンキー女性が語る「地方の現実」』に続く https://nikkan-spa.jp/631717 【原田曜平氏】 ’77年、東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、博報堂に入社。現在、博報堂ブランドデザイン若者生活研究所リーダー。著書に『近頃の若者はなぜダメなのか』(光文社)など多数 ※写真はイメージです ― [ヤンキー経済]知られざる消費と本音【1】 ―
ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体

日本経済「成長の終焉」で出現したマイルドヤンキーの生態とは?

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