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クラブのダンス規制撤廃はキャバクラの深夜営業にも影響を与えるか

― 木村和久の「オヤ充のススメ」その17 ―

クラブ

クラブ規制撤廃の流れのなか、キャバクラの深夜営業だけが取り残されていく

 若者が集まるクラブにはダンスの規制があり、風営法の適応を受け、深夜0時か1時までの営業しかできなかった。ところが、最近の裁判では、警察当局の規制が厳しすぎると、深夜営業で摘発を受けたクラブ側が無罪を勝ち取るケースが出てきたのだ。  つまり、ダンスという自己表現の踊りを、風営法を適用して規制するのは時代遅れと司法は判断したのだ。  この話を受けて、では、キャバクラはどうなのか? と言いたい。キャバクラはしっかりと風営法の適応を受けて、営業時間が決められている。閉店は12時、あるいは特別営業区域や年末年始などは深夜1時まで可能となっている。日本全国津々浦々のキャバクラに行ったが、現実的にはあまり守られていませんね。  けど、風営法の取り締まりは、スピード違反の取り締まりみたいなもので、やるときはやるようである。  というわけで六本木のミッドタウン近辺のキャバクラは、一番とばっちりを受けている。なまじっかそばにインテリジェントビルがあるがために、深夜0時閉店を強いられているのだ。けど、実際のところ「はいそうですか」と12時に店を閉めては、商売あがったりだ。六本木のキャバクラの追い詰められている状況を見てみよう。  六本木のキャバクラの開店時間は7~8時だが、実際に客が入るのは9時過ぎからだ。普通のお客さんは7時ぐらいにレストランに集まって食事し、そろそろ飲みに行きますかとなるので、始まりは遅くなる。  早い時間帯にも客はいるにはいるが、一人客が多い。つまり熱心なワンセット客だ。立ち食いそばで夕飯を済ませて、キャバ嬢を見ずに、安い腕時計をチラチラ見ながら飲む変わった種族だ。いないよりはマシ程度、本当に儲からない。  そんな状況で、キャバクラの稼ぎ時は正味3時間、しかも六本木は、土日祝日が休みで、年間約250日営業で利益を上げねばならない。そりゃあ、たまに来た客に、シャンパンでも入れさせないと儲からないですわ。そうやってボラれた客は、二度と行かないので、悪循環に陥る危険性がなきにしもあらず、ですけど。  現状で言うと、キャバクラは建前上、深夜0時閉店でも、深夜1~2時ぐらいまで、店の看板照明を落として営業しているところが多い。だから、深夜0時頃に来た客には、先に清算してもらって飲み、注意されたら「お客さんが帰らなくて困ってるんですよ、こっちはとっくに営業終わってるんですけど」と非常に苦しい弁解をするわけだ。  時間外営業の取り締まりは、現場を押さえないといけないので、警察側も客のフリをして飲んでいるケースがある。ただし現行犯はない。1回目は警告を出して、改善を求めるのが一般的だ。2回目でようやく営業停止処分となる。  その営業停止も、ひと月ぐらい余裕があっての停止となる。営業停止を受けたキャバクラはどうするか? 奥の手がある。それが合同営業だ。手入れを食らった店では営業できないので、姉妹店にボトルを移して、あっちでやりだす。法律的には別な店だから問題はない。店も2件合同の方が、一杯客が入ってる感がして都合がいい。もちろん姉妹店がない場合は、仲のいい店に頼むこともある。それは持ちつ持たれつの関係だからだ。  だが、追求の手は厳しい。合同営業店も深夜までオープンさせていたからと、風営法違反となり、営業停止になるのは目に見えている。では、以前の営業停止店の喪が明けたって、最初の店が営業再開できるから、そっちでまたやろうよとなるが、仏の顔も三度まで。いくらなんでも、それを繰り返したら、店の存在自体が危うくなる。  結局「当店は健全営業、12時に閉店します」とデカデカ表示出して、様子を見ながら、深夜0時と1時の間をさまよって営業せざるを得ないのだ。羽田空港が24時間開いている時代に、超先進国の首都東京で、キャバクラが深夜0時に閉まるなんて、なんかおかしいと思いませんか。  そもそもなぜこうなっているかというと、1980年代、新宿のディスコで未成年者の殺傷事件が起こり、ディスコは深夜0時に閉めようとなり、その煽りを食らったのがキャバクラである。でも、クラブはもともとディスコの類だ。つまり本来の規制の対象であるクラブが風営法規制対象外になりつつあるのだから、ついでに規制されているキャバクラこそが、真っ先に深夜営業規制を撤廃すべきでしょう。  まったくもって規制する理由がホント分からない。  だって、今やキャバクラ業界は、未成年者とは無縁の世界ですからね。未成年者を雇って、発覚すれば一発で営業停止になる。だから誰もそんなリスクを負ってまで、未成年者を働かせようとしない。そもそも働き手がたくさんいるのだから、未成年者を働かせる必要はまったくない。  今後考えられることは、即座に風営法の適用外にするのは無理そうだから、風営法の緩和、キャバクラの類は午前2時まで営業可能とかね、それぐらいはやってもらわないと。その中途半端な時間規制の方が、タクシー業界も潤ってお互い得だと思うんだけど。
木村和久

木村和久

 要するに、今の風営法の一部分は、昔のアメリカの禁酒法ぐらいおかしいと、声を出していいたい。おそらく10年ぐらいしたら、なんであんなバカげた規制があったのと、みんな笑っているはずですよ。 ■木村和久(きむらかずひさ)■ トレンドを読み解くコラムニストとして数々のベストセラーを上梓。ゴルフやキャバクラにも通じる、大人の遊び人。現在は日本株を中心としたデイトレードにも挑戦
トレンドを読み解くコラムニストとして数々のベストセラーを上梓。ゴルフやキャバクラにも通じる、大人の遊び人。現在は日本株を中心としたデイトレードにも挑戦。著書に『50歳からのかろやか人生』
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