夫が女装に目覚めてしまったら…妻がとるべき行動は?

メイク道具 学生時代は柔道をやっていたという、マッチョ系の“おっさん”である小野桂子さん(仮名・39歳)の夫が、本格的な女装に目覚めたのは40歳、不惑のときだったという。

「25歳の頃に一度女装サロンを経験したことがあるみたいで、興味があることは知っていました。もともと、かわいいもの好きですし、ずっと体育会系の社会で生きてきて辟易していたのかなって」

 当初は、ネットの女装交流サイトを観る程度だったという。が、5年前に子供が生まれ、小野さんが子育てに追われる日々で、夫を「若干、構ってなかった」ことが原因か、行動に移すようになる。

「私が寝ている夜中に出掛け、朝方帰って来るみたいな日が続いて。不審に思い問い詰めたら、『女装です』と開き直った(笑)」

 金土は行きつけの女装バーに通う生活が始まり、夫の書斎はウイッグや下着など女性モノの衣類が増えていった。それでも「私の懐が傷むわけでもなし」と、小野さんは黙認していたが……。

「女装自体を悪いとは思いませんが、娘も5歳になったので、止めてほしいと言ったら大ケンカ。しぶしぶ了承したものの、今度はストレスからイライラし始めて。仕方ないので再開を認めたんです」

 最近では家族で買い物に行っても、夫は自分の“洋服”を物色。

「『ねぇ、これ似合う?』って聞いてくるから、私も、『試着してみたら』って、勧めたりします。店員さんもさほど驚きもしないんですよ。もちろん、子供の見ていないところでの話ですけど」

 日焼けは厳禁と夏場でも長袖が基本。顔のシートパックは週2回。最近、悩んでいるのは、ほうれい線と二の腕の太さだとか。

「私に対して、『言葉遣いが女性らしくない』『もっとかわいい服を着たほうがいい』と説教するのが、少しウザいかな。でも、おっさんとの女子トークも面白いですよ。もはや、家庭内にエロはなくてもいい、という心境ですけど」

 物心ついてくる子供のことが少々、気がかりだとは言うが、「それが好きだと思っている人の気持ちを止めるのは難しい」と小野さん。夫婦、家族のあり方は人それぞれだよなあ、ホント。

<事情通・九龍ジョー氏が解説>
◆思わぬ扉が開く女装。目覚めた理由を確認し、監視の目は緩めずに


 一口に「女装」といっても、その世界に入った理由は千差万別。まず、すべきは女装を始めた理由の確認です。性別異和やバイ・セクシャルが根本原因な場合は、夫婦としてキチンとした話し合いが必要でしょう。しかし、アニメなどのコスプレが高じたケースやファッション感覚ならば、「趣味の範囲を守る」「家庭では男として振る舞うこと」を約束してもらうことで、円満な夫婦生活を維持できる場合も少なくありません。

 ただ、女装が怖いのは最初はA面⇔B面のスイッチを使い分けていたつもりでも、歯止めが効かなくなることがある、ということです。女装によって満たされる「見られる欲望」は、男の人生ではなかった快感で中毒性がある。洋服や化粧品にこだわり始め、女性ホルモンを打ち始める人もいます。

 また、女装コミュニティは承認し合うことが基本ですから、その優しさは男性社会への違和感を抱いていた人にとってはとても居心地がよくハマりやすい。ですから、旦那が女装に目覚めたら、コミュニケーションはより密にすべきです。一緒に女装イベントに行くなど、監視は続けたほうがいい。思ってもみなかった扉が開いてしまうのが女装の世界ですから。

【九龍ジョー氏】
編集者、ライター。ポップ・カルチャーを中心に原稿執筆。女装イベントにも多く企画参画し、取材を重ねる。編集近刊に坂口恭平『幻年時代』、近共著に『遊びつかれた朝に――10年代インディ・ミュージックをめぐる対話

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