睡眠不足の人は幸せになれない!? ~400人睡眠調査から~【後編】

【週刊SPA!連載】 ★週刊チキーーダ! 飯田泰之・荻上チキのヤバい研究報告書 400人睡眠調査週刊チキーーダ!、リニューアル第1弾は全国400人の男女を対象に行った眠りに関するアンケート調査の報告だ。OECD調査によると日本人の平均睡眠時間は7時間50分。世界18か国の中でワースト2位とのことだが、我らが行った調査ではそれより短い結果が出た。しかも、睡眠と幸福度には関係があるらしく…… ◆眠らないと、幸せになれない!? ~400人睡眠調査から~【後編】 ⇒【前編】『日本人は何時間眠れば幸せなのか?』はコチラ 荻上チキ(以下、荻上):寝ないとツラいし、イライラするよね。一方で、因果関係はどうなの? 僕はこれまでの人生で、眠りやすい時期や悶々として眠れない時期とかもあったので、「幸福だと眠りやすい」のか「眠ると幸福を感じる」のか。 飯田泰之(以下、飯田):これは回帰分析ではわからない。統計は因果ではなく相関を検出するものだから。統計分析は、因果の必要条件が成立しているかどうかを調べるためのモノなんだ。 荻上:一方で、ゲームとかにハマって眠る時間も惜しいとかって場合では、幸福度も上がりそうだけど。睡眠時間が他者により削られたり、事情によって減っている場合と、そうでない場合もありそう。 飯田:確かに。もっとも最近は寝食を忘れて何かに打ち込むということがなくなってきたなぁ。ちょくちょく仕事を忘れて寝食に打ち込んではいるけど。 荻上:僕は今、ラジオを毎日やってるじゃん。生放送終了が1時で、打ち合わせだなんだで帰宅するのは深夜2時超。そこから書き仕事をしたり、映画を観たりして、眠るのが深夜3時から朝6時くらい。今はそのペースに完全に慣れているんだけれど、健康的な生活かといえば、そうでもなさそうだ。飯田クンは最近、眠れてるかい? こう、新婚生活的な意味で。 飯田:酒量が増えてバタンキューが多い……悩みがあるとかじゃなくて、うちの奥さんウワバミなんだよ(泣)。むしろ2児の父のほうが睡眠では苦労しそうだけど? 荻上:子供を寝かしつけるために、自分が寝たふりしながら、相手の息に合わせて息を吐き、胸をとんとんとたたいてやるわけ。そうすると、つられて寝ちゃうんだよね。家族をつくってから、睡眠で悩むことは本当に減ったな。 飯田:素晴らしいじゃん。俺、めちゃくちゃ寝付きいいから子供より遅くまで起きてられるか心配だ。 荻上:起きてられるかじゃなくて、起こされるもんだよ、子供の泣き声は。とはいえ、「おむつ交換は妻の仕事」「授乳は俺には関係ない」と、無関係を決めこめば寝続けられるかもしれないし、育児中に寝室を分ける人もいる。もちろんそれで夫婦仲が悪くなることもある。 飯田:まさに産後クライシス? その一方、少なからぬ職場が男女の分業を明らかに前提としていたりする。この不協和を是正するためには社会と企業も変わる必要がある。好況による人手不足がその助けになることを祈るばかりだよ。 【飯田泰之】 ’75年生まれ。エコノミスト。明治大学政治経済学部准教授。「収録モノの番組で、自分が一番言いたいことをカットされない技術を鋭意研究中」 【荻上チキ】 ’81年生まれ。評論家、『シノドス』編集長。「『テラリア』というゲームにハマっています。2D版マインクラフトみたいな感じ。自由度高くて抜け出せねー」 ●荻上の新刊発売中!『未来をつくる権利』 よく眠る権利――快眠権を提唱しているのが、荻上の新刊『未来をつくる権利 社会問題を読み解く6つの講義』(NHK出版)。快眠権のほか、「縁を切る権利」「病気である権利」「『家族』をつくる権利」など、少し先の未来を思いつつ「あったらいいな」の“権利”を構想。「空想講座」と銘打つが、身近な時事問題をフックにした提言は、今を知るヒントにもなる!
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