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ぼっち、貧乏、ボケ…老後を襲う「3B」の恐怖

 老後への不安から、貯金に励んでいる読者は多いだろう。だが、老後の幸・不幸を左右するのは当然ながらカネの問題だけではない。  なかでも深刻なのが「独居老人」問題だ。
結城康博氏

結城康博氏

「独り暮らしの高齢者は、来年には約600万人(約20人に1人)に達すると推計されています。生涯未婚率が年々上昇しているなか、今の40代が老人になる頃には、その数はさらに増えているでしょう」と話すのは、著書『孤独死のリアル』が話題を呼んでいる、淑徳大学教授の結城康博氏。 「昨今、身寄りのない高齢者が苦労することのひとつに、住む家が見つからないという問題があります。万一、孤独死が起きてしまうと、事故処理も大変だし、物件全体の価値も下がる。大家さんにとって、独り暮らし高齢者は、できれば避けたい入居者なのです。また、独り暮らし高齢者が自宅で倒れたとしても、異変を感じた人が、本人の了解のないまま自宅に立ち入るには法律上の手間がかかるため、即日の立ち入りは難しい。それで“手遅れ”になってしまうケースもあるでしょう」  これに「ボケ」が加わって「独居認知症」となると、様相はさらにディープに。認知症が進んでゴミ屋敷で生活したり、徘徊の途中で交通事故に遭ったりする高齢者は社会問題となっている。  ぼっち(孤独)、貧乏、ボケ……この「3B」が揃ったとき、老後が限りなく悲惨なものになるのは疑いない。30代、40代のうちに危険因子に気づいておけば、軌道修正もきっと可能だ! ◆あなたは将来……居場所を失う!?  最悪、パートナーがいなくても、近隣コミュニティの中に自分の居場所があれば「ぼっち」は避けられる。だが、これを非常に苦手とするのが日本の男性だ。 「孤独死で亡くなる人の7割は男性といわれます。女性のほうが圧倒的に平均寿命が長いことを考えると、この数値は異常に高い」  近隣コミュニティから孤立しがちな男性の共通点は、「近所の人と出会っても『あいさつ』すらしないこと。用事もないのに気安く話しかけられないというのは、男性ならではの感覚ですね。他人の親切を受けるのが苦手な男性も多い。困っていることはないかと聞かれても、即座に『大丈夫です』などと言ってしまう」  近隣住人との付き合い方がよくわからない人にとって、自治会やマンション管理組合の会合というのは、強制的に自分をコミュニティに参加させるよい機会だと結城氏は言う。面倒でも顔を出してみるべきだろう。 老後「また、人との繋がりを考えるうえでバカにできないのは『社縁』、つまり職場の人間関係です。退職後は徐々に薄らいでいくものですが、それでも遠方に住んでいる学生時代の友人などよりは、いざというとき頼りになることも。その意味で、社縁の希薄な派遣社員の人などは不利かもしれませんね」  そして、無視してはならないのが「ボケ」と「ぼっち」の関係だ。 「たとえ軽度でも、認知症を患うことで、社会との繋がりは希薄化しがちなんです。ゴミ出しひとつとっても、可燃ごみ、プラスチックなどにちゃんと分けることができない認知症の独り暮らし高齢者が、近所の人からクレームを受けて、それに納得できずに少しずつ近所付き合いから遠ざかっていくようなケースが少なくありません」  自分を気にかけてくれる人を一人でも多く持つこと。これに勝るリスクヘッジはないのだ。 <老後ぼっちTEST 当てはまる項目にチェック!!> ●近所の人と会ってもあいさつしない +2点 ●人の親切をおせっかいと感じがちだ +1点 ●派遣社員orフリーランスである +1点 ●町内会やマンション理事会の会合に出たことがない +1点 ⇒4点以上は赤信号! 【結城康博氏】 淑徳大学総合福祉学部教授(社会福祉士、介護福祉士、ケアマネジャー)。新刊『孤独死のリアル』(講談社現代新書)が話題に ― あなたは大丈夫?恐怖の[老後検定]【1】 ―
孤独死のリアル

孤独死はもはや身近な問題

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