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サラリーマンは「地下アイドル商法」から学べ!

 アイドルには全くもって興味がなかったのに、一度ライブに足を運んだらすっかりハマってしまった――という中年サラリーマンは多い。それだけ直接アイドルと接触する、というのは中毒性があるという企業研修講師のA氏も、一度行ったらハマってしまったという男性の一人。なぜここまで魅力があるのか。コンサルティングにも従事している氏は、仕事目線で彼女たちを見るようになり、最終的に「地下アイドル商法は勉強になる! もっと多くの人に知ってもらいたい!」と鼻息を荒くしている。では聞いてみようではないか。
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「私は40代後半ですが、この年齢にして、秋葉原という場所で人生を教わるようになりました。にわかと思われても仕方がないのですが、8か月前に初めて、秋葉原でアイドルグループ『ラブリードール研究生(通称らぶけん)』(現在は2つのユニット、LuceTwinkleWink☆、Stella☆Beatsとして活動中)のライブに取材目的でたまたま出向き、あっという間にハマってしまい、かれこれ通算50回以上はライブに行きました。こんな短期間に何がわかるんだ、と長年ガチで応援されている方々に思われても仕方ありませんが、とにかく私の人生は変わったのです!」  熱く語るA氏。結構なお金をつぎ込んでいるそう。 「握手会、ファンとの交流、遠征、チェキ購入、CD購入……。正直お金も時間も中古の車が買えるくらいは使っております。もはやライフワークです。そして、秋葉原などで開催されるいろいろなアイドルのライブなどに行っているうちに私は気付いたのです。この商法(ビジネス)は、サラリーマンにも活かせるぞ、と。勝手ながら、私は地下アイドルマーケターを名乗らせていただきたいと思います」  それでは、一体何がA氏をそう変えたのか。そして、これまでまったくアイドルに興味がなかった人がこれだけハマった理由とは? 「少しだけ本職に戻ってお話をしていきたいと思います。元々アイドルに興味のない私は知らなかったのですが、地下アイドルだけでもものすごい数のグループがいます。正直、どのグループも一緒に見えて、どこのグループのファンになっていいのやら、きっかけがわかりませんよね。彼女達は何千、何万というファンを掴むためではなく、それこそ1回のライブで50人から100人のファンを集める為に、日夜頑張っているのです。これってAKBが大企業であると考えると、地下アイドルは、小さなお店や会社に該当します。そうです、今回紹介をする『アイドル商法』は、まさにサラリーマンの営業、小さなお店の経営のヒントとなることばかりなのです」 ◆ミッション商法 「私自身はこれでハマったと言ってもいいでしょう。簡単に言うと、アイドルに課題を与えられた手法です。つまり、『○○人のお客さんが達成したら〇〇が開催(販売)されます』というものです。何故ハマるのか。簡単です。応援している女のコが、一生懸命お願いをして頑張るわけです。握手会と呼ばれる物販(ライブ後の写真やCDの販売会)の時に、実際に手を握られながら、『お願いします』と言われたら、大抵の人は応援したくなります」  つまり、この手法を仕事に生かせるということだ。 「営業等の際に、『これは、私たちが一生懸命考えた企画です。アドバイスがありましたらお願いします』ということで、相手(ファン)も企画に参加した気持ちになり、購入や契約を断りにくくなるのです。つまり『一体感と達成感』を活用するのです。こういう気構えを相手に見せれば、これまで売れなかった商品の売れ行きが変わってくるというわけです。ぜひ試してみてください」 ◆バッチシステム商法 「これは物事の達成に対してバッチ(勲章)が与えられるものです。典型的な例が、ポイントカードですが、アイドルのバッチシステムは違います。もちろん、購入するCDやグッズの数によって、様々な特典が受けられるのですが、一番の売りは、ファンとしての“ステータスUP”なんです。つまりアイドルに一目置かれる。ライブに行けば行く程、お気に入りのメンバーに覚えてもらえて、(アイドルによりますが)いつも名前で呼んでくれるようになったり、プレゼントをBlogやTwitterにUPしてくれたりします。大抵は『ファンの方にもらいました』『お気に入りです』と書いてあるので、そのアイドルとファンの共通の秘密が出来た感じがして、ドキドキします。その優越感は、味わった者でないと分かりません。私は何度か味わってますが(笑)」  たしかに受け手の人間の気持ちを実感しなければ、ここまで分からない。とはいえ、同じようなことはサラリーマンでも実践は可能だという。 「これもお金をかけないで、仕事に活用することができます。簡単です。声がけなんです。成功する人は、マメな人が多いです。営業であれば、受付の人に毎回挨拶をする。何度か通えば、名前を呼びながら挨拶や雑談もする。お店であれば、いつも来る人には、必ず前回の時の話などをする。初めての人には、商品や料理の説明をするようにする。そうすることで、距離感が縮まり、『この人の商品なら買ってみよう』となるでしょう?」  さらに、最後にこう加えた。 「アイドル手法のポイントは距離感です。その距離感をうまくつくれる彼女たちこそ究極のビジネスマンだと私は思います! 私自身もコンサルタントに従事している身ですが、彼女たちから学ぶことはたくさんあります」  デキるビジネスマンを目指したければ、まずは地下アイドルのライブに出向いてみるのがいいかもしれない。 <取材・文/日刊SPA!取材班>
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