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「結核は“昔の病気”ではない。正しい知識で対処を」研究所所長が警告

 7月2日、名古屋市の高校で結核にかかった40代教師から、生徒や卒業生39人の感染が発覚するなど、最近特に若い世代での集団感染が問題になっている「結核」。一体どういう病気なのか? ⇒【前編】『風邪だと思ったら「結核」だった』https://nikkan-spa.jp/686006 ◆ 「早期発見」こそ感染を防ぐ最大の方法  SPA!記者(40代)が結核を発病、感染症指定病棟に入院することになった。社会と隔離して抗結核薬による治療が始まる。菌を排出しなくなるまで約2~3週間、入院期間は人によってまちまちだが、退院しても(飲み始めから)最低6か月は薬を飲む必要がある。記者の長い闘病生活が始まった。  結核といえば、正岡子規、沖田総司、高杉晋作などの死因としても有名だ。一般には、昔の病気のようなイメージを持たれている。 「とんでもありません。結核は、現在日本で流行している最大級の感染症なんです」と語るのは、結核研究所の石川信克所長。現在、日本では年間約2万人が結核を発病し、死亡者は年約2000人。 「これは先進国の中ではかなり多い部類に属します。日本は結核“中蔓延国”といえます。結核に関する一般への認知は非常に低く、治療体制の面でも感染対策の面でも手を抜けません。また、結核の知識がない医師も多く、風邪や喉の炎症と診断されて症状を逆に悪化させてしまうこともある。特に働き盛りの世代の発見が遅れています。咳が2~3週間続いたら、呼吸器科でエックス線撮影をしてもらう、結核菌が出ているか痰の検査をしてもらうなど、結核の可能性を一度は疑うことが必要です」 「早期発見」こそ結核の感染拡大を防ぐ最大の方法なのだ。 ◆正しい知識を持って対処すれば怖くない 「一方で、結核を必要以上に怖がりすぎるという問題もあります」と石川所長は言う。 「結核患者が出ると、無関心な層と極端におびえる層と、両極端に分かれます。どちらも結核に対する知識がないことが原因。例えば職場では怖がられたり、差別を受けたり解雇されたりといったケースも出てきます。
結核感染

結核菌は通常、鼻や喉などの粘膜でガードされ、体内に入っても免疫力で退治される。肺の奥まで吸い込まれて、初めて感染する

 しかし結核患者の方も、どこかで菌をうつされた被害者。満員電車、コンサート会場、マンガ喫茶……昔と違って、多くの人が密室空間で一緒になる機会が増えてきています。今はどこで感染するかわからない時代なのです。 ⇒【画像】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=686057  また、食器を共有したぐらいではうつりませんし、結核菌を吸い込んだとしても、鼻や喉の粘膜でガードし、体内の免疫機能で撃退されます。健康な体であれば、そう簡単に感染はしない。感染しても、発病前なら1種類の薬を6か月飲めば発病を予防できます。  結核は、正しい知識をもって対応すればまったく怖くありません。しかし、放っておくと大変なことになる。怖がりすぎても、甘く見すぎてもいけません。結核の再流行を止めるには、結核への知識を深めることが第一。結核は決して“過去の病気”ではないんです」 取材・文・撮影/北村土龍 神戸須磨子 写真/世田谷保健所 ― [結核再流行]の危険度を探る!【2】 ―
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