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心にも効く不思議体験「クラヤミ食堂2011」に行ってみた

 年に3~4回、それも数日間しか開かない幻(?)のレストラン「クラヤミ食堂」をご存じでしょうか。’07年に「こどもごころ製作所」が始めたこの食堂、なんだか宮沢賢治の物語にでも出てきそうな不思議なネーミングですが、その名のとおり、真っ暗闇のなか(正確に言うと目隠しで視覚を遮り)、残された聴覚、嗅覚、触角、そして味覚をフル活用して、知らない者同士が同じテーブルを囲み、食事を楽しむ体感型イベントなんです。そんな奇怪なイベントが、10月1・2日、「クラヤミ食堂みらいバージョン2011」をテーマに開かれると聞き、参加してみました。  まず、荷物は貴重品以外すべて預け、「苦手な食べ物やアレルギーがあるかないか」、「アルコールが飲めるか飲めないか」など簡単なアンケートに答えます。次に、黒い幕が引いてある部屋へ数人ずつ誘導され、一列に並ぶとアイマスクを渡され、目隠しの指示 が(ここから、すべてのイベントが終了し、またこの場所に戻ってくるまで約2時間、ずっと暗闇が続く)。  やがて店員さんが一人ひとりの手を取り、食堂へ誘導、席まで案内してくれるんですが、ビビリの記者は、「この手を離したら、永遠に漆黒の宇宙へ放り出される!」くらいの不安が襲い、牛歩状態に……。また、友人や夫婦など、誰かと一緒に来た場合も、別々の席にエスコートされるため、テーブルは初対面同士で囲むことになります。
クラヤミ食堂

はじめは鼻を近づけて香りを確かめたり、恐る恐る口へ運びます

 そうして、今から100年後の未来、2111年の世界へ誘うという「時空特急クラヤミ号の未来クルーズ」がスタート。はじめは「こんな状態で、どこに向かって何を話せば? そもそも食べられるのか?」と戸惑いつつも、支配人 のエスコートにより、参加者の声を手がかりに乾杯! グラスが割れるんじゃないかとヒヤヒヤものです!  料理は、「グリーン・サムライ~2111年の江戸前料理」や「宇宙エレベーターの名物料理」、「月の中からとれるもの」といった7つの料理とワイン3種など。名前だけではさっぱり見当がつかないこれらのメニューを、それこそ視覚以外の感覚で「コレ、牛肉?」「魚じゃない?」と探りながら味わいます。しかも美味い!  そうこうしているうちに、徐々に緊張の糸がほぐれ、逆に感覚は研ぎ澄まされていく感じが。元来、人見知り&喋りベタ(記者なのに)で、「最後まで真っ暗の中、無言で終わったら……」と心配していましたが、むしろ見えないことで、無駄な情報に気圧されず、素直にコミュニケーションが取れた気さえしました。  最後は、どのテーブルも名残り惜しみながらの解散に。食堂を出るまで目隠ししたままなので、相手の顔はイベントが終わってもわかりません。そのため、記者のいたテーブルでは、合言葉を決めて、後で改めて集合しましたが、今日会ったばかりの仲とは思えない雰囲気で、再会を誓いました。  なんとも不思議なイベントでしたが、そもそも博報堂の「こどもごころ製作所」とは、何をするところなんでしょう? クラヤミ食堂の生みの親で「こどもごころ製作所」の軽部拓所長に聞いたところによると、「広告会社ならではの発想やコミュニケーションスキルを使って、世の中を好転させる新しい価値をデザインしたかったんです。  具体的には、『大人に“こどもごころ”という価値、豊かな感性や冒険心、やんちゃな気持ちを抱いてもらいたい』との思いからはじめました」とのこと。また、「食」と「クラヤミ」を選んだことに関しては、「日本人の味覚は世界一繊細だと言われています。それがクラヤミにより、イマジネーションをより広げていくことになると思いますし、さらにはコミュニケーション力も高めてくれると思います」と言います。なんでも、このイベントがきっかけで知り合い、めでたくゴールインしたカップルもいたそう。  次回の開催については、適宜「こどもごころ製作所」のサイトにてお知らせするので、ぜひ一度、不思議な食堂に足を踏み入れてみてください。 ●クラヤミ食堂(http://www.kodomogokoro.jp/kurayami/) 写真/大久保 聡 取材・文/おはつ
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